日本は ベトナム人労働者向けの対象職種を拡大

2026年4月9日

2026年4月8日、ベトナム海外労働管理局(DOLAB:ベトナム内務省傘下で、国外への労働者派遣の管理・監督を行う国家機関)は、日本政府による「特定技能(SSW)」制度の拡大および新設される「育成就労(ESD)」制度に関する最新方針を発表した。これにより、ベトナム人労働者の日本での就業機会が大幅に広がる見通しである。

【特定技能(SSW)制度の拡充】
特定技能制度において、従来の16分野に「リネンサプライ」、「物流・倉庫」、「資源循環」の3分野が新たに追加され、計19分野となった
既存の16分野: 介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業。
・制度の細分化: 2027年4月より、自動車整備や飲食料品製造業などの分野において、労働市場のニーズに合わせ、より詳細な職種区分への分割が実施される予定である。

【育成就労(ESD)制度の導入】
日本政府は、従来の技能実習制度に代わる新たな枠組みとして、2027年4月より「育成就労(ESD)」制度を開始する。
対象分野: 介護、ビル管理、建設、造船、自動車整備、宿泊、農業、漁業、外食、木材、林業、製造業、鉄道、飲食料品製造、リネンサプライ、物流、資源循環の計17分野が承認された。
・目的: 外国人労働者が日本でスキルを磨きながらキャリアを形成できる、より体系的な環境を提供することを目的としている。

これらの政策更新により、ベトナム人労働者にとっての選択肢が多様化し、専門性を高めながら日本で長期的に活躍できる基盤が整うことが期待される。

2026年残り3四半期におけるベトナムの成長シナリオ

2026年4月6日

ベトナム統計総局(GSO)によると、2026年第1四半期のGDP成長率は7.83%を記録した。これは世界経済が不安定な中では明るい数字であるが、政府目標の9.1%には届かなかった。これを受け、目標達成には残り3つの四半期で10.5%以上の高成長を維持する必要がある。

【今後の成長シナリオと目標値】
目標達成に向けた各四半期のGDP成長率予測は以下の通りである。
・第2四半期: 10.5%(工業・建設業が12.6%増と牽引)
・第3四半期: 10.6%
・第4四半期: 10.74%
このシナリオは、輸出の加速、国内購買力の回復、および半導体やグリーン経済といった新産業の貢献を前提としている。

【成長を後押しする主な原動力】
公共投資の拡大: ロンタイン国際空港や高速鉄道などの巨大インフラプロジェクトが「呼び水」となり、物流コストの削減とFDI(外国直接投資)の誘致を促進する。
内需の活性化: 給与制度改革や消費刺激策により、1億人規模の国内市場の購買力を引き出し、サービス業や電子商取引を支える。
・柔軟な財政・金融政策: ガソリン税の調整や価格安定基金の活用により、コストプッシュ型インフレを抑制し、企業の利益率、収益性を下支えする。
・デジタルトランスフォーメーション(DX)とAI: AIや自動化の導入により、労働集約型から知識集約型モデルへ転換し、全要素生産性(TFP)を向上させる。
・自由貿易協定(FTA)の活用: FTAを最大限に活用し、電子部品やグリーンテキスタイルなどの主力製品をグローバルバリューチェーンの上位へとシフトさせる。

年間で2桁成長を目指すという歴史的な挑戦に対し、ベトナム政府は法的障壁の撤廃と公共投資の執行加速を急いでいる。中東情勢の沈静化と原油価格の安定が、目標達成のための重要な外部要因となる。

投資法の一部の条項の施行ガイドラインに関する新政令

2026年4月1日

ベトナム政府は2026年3月31日、投資法の一部条項の実施に関する詳細なガイドラインを規定する政令第96/2026/ND-CP号を発出した。本政令は、法改正時における投資優遇措置の維持や、投資家への情報提供義務などを明確化し、投資環境の透明性と安定性を高めることを目的としている。


【法改正時における投資優遇の保証】 
投資家が既に適用を受けている投資優遇措置に対し、後に施行された法的文書が不利益な変更をもたらす場合、投資法第12条に基づき、既存の優遇措置の継続が保証される。
対象となる優遇措置: 投資許可証、投資登録証明書(IRC)、投資方針決定書、およびその他の所轄官庁が発行した文書に規定された内容。
・申請手続き: 投資登録機関(各省・地方の計画投資局)は、投資家からの有効な申請書を受領後、30日以内に投資保証措置の適用を検討・決定しなければならない。

【投資家への情報提供義務(5営業日以内)】
・投資登録機関、都市計画・土地利用計画、資源・環境、建設等の各管理機関は、計画情報や投資プロジェクトリストを公表する責任を負う。
迅速な対応: 投資家から計画情報等の提供依頼があった場合、各当局は依頼受領から5営業日以内に回答しなければならない。
・情報の活用: 投資家は提供された情報を、プロジェクトの書類作成や実施に活用する権利を有する。

【投資禁止および条件付き投資分野】
投資禁止分野: 投資法第6条に規定される禁止業種(麻薬、規定化学物質・鉱物、絶滅危惧野生動物取引等)での事業活動は厳禁である。
・条件付き分野: 投資法附録IV(銀行・保険などの金融業、 不動産開発・不動産仲介 、教育・職業訓練 、医療サービスなど数百にのぼる)に規定される業種については、法的な条件を充足した時点から事業が可能となり、操業期間中はその条件を維持し続ける義務がある。
・行政の透明性: ライセンスの発行、延長、修正を拒否する場合、所轄官庁は投資家に対し、理由を明記した書面で通知しなければならない。

ベトナム国家銀行、各金融機関に金利水準の安定化を要請

2026年4月1日

2026年のマクロ経済の安定維持とインフレ抑制を目的とし、ベトナム国家銀行(NHNN:英名State Bank of Vietnam(SBV)/ベトナムの中央銀行であり、通貨政策の策定や金融システムの監督を担う機関)は、国内の各金融機関に対し、金利水準を安定させるための同期的な対策を講じるよう要請した。


【金利安定化と市場規律の強化】
国家銀行は、政府および首相の指示に基づき、以下の重点事項を各金融機関および外資系銀行支店に求めている。
金利水準の維持: 政府の指針に沿い、通貨市場を安定させるため、全システムで金利水準を一定に保つ対策を徹底する。また、預金金利の公表義務や上限金利に関する現行規定を厳守しなければならない。
・内部統制の強化: 違反行為を迅速に是正・処分するため、内部監査・管理体制を強化し、金利の不当な変動を抑制して金融秩序を維持する。

【情報の透明性と資金提供の最適化】 金融機関は、利用者(個人・企業)が融資を受けやすい環境を整えるため、自社ウェブサイト等での情報公開を義務付けられた。
公開内容: 平均貸出金利、預貸金利差(スプレッド)、および各融資パッケージの適用金利などを透明化する。
・資金使途の誘導: 流動性と支払能力を確保した上で、融資資金を生産・経営活動、優先分野、および経済成長の原動力となる部門に集中させる。

【当局による監督体制】
国家銀行の各地方支店は、管轄地域の金融機関に対する指導を強化し、情報の透明性を維持させる。国家銀行本部は今後も市場動向を密接に監視し、金利政策の実施状況について検査・監督を強化する方針である。

BW社は工業団地におけるエネルギーインフラを強化、太陽光発電を拡大

2026年3月25日

2026年3月24日、ベトナム最大手の工業用・物流用不動産デベロッパーであるBWインダストリアル(BW)は、ハイテク産業およびハイパースケールデータセンターの需要取り込みを目的とした2つの重要な覚書(MoU)を締結した。提携先は、Becamex IDC(ベトナムの工業団地開発最大手) とVSIP(ベトナム・シンガポール工業団地)が共同出資して設立した電力投資開発会社(BV Power)およびベトナム・シンガポール・スマートエネルギー・ソリューション(VSSES)である。

【データセンター向け700MW級の電力供給計画】
BV Powerとの提携により、BWは「BWサプライチェーン・シティ」において大規模な電力インフラを開発する。
段階的ロードマップ: 今後12ヶ月以内に第1段階として120MWの供給を開始し、3〜5年以内には220kVおよび110kV変電所の増設を経て、総供給能力を約700MWまで引き上げる計画である。 ※700MWは中規模火力発電所1基に匹敵する規模
戦略的立地: 同プロジェクトが位置するビンズオン省エリアは、ホーチミン市の都市計画においても「集中デジタル技術区」としての発展が期待されており、データセンター特有の膨大な電力需要に即応する体制を整える。                                      ※ビンズオン省はホーチミン市北部に隣接する主要工業地帯

【再生可能エネルギーへのコミットメント】
VSSESとの協力により、BWバウバン工業団地において、ベトナムの工業用不動産分野で最大規模となる屋根置き型太陽光発電システムを導入する。
規模と効果: 約24万㎡の屋根面積に30MWpの設備を設置し、年間最大4,050万kWhのクリーン電力を生成する(一般家庭約1万世帯分の年間電力消費に相当)。
・拡張性: BWは今後、保有する約300万㎡の屋根面積を活用し、太陽光発電容量を100MWp超まで拡大する潜在力を有しており、テナント企業のESG目標達成を支援する。              ※ESG目標:環境・社会・企業統治に配慮した経営のための具体的な数値目標

【展望】
BWのランス・リー総局長は、クリーンかつ安定したエネルギーインフラこそが、次世代の工業成長における「絶対的な競争優位性」になると述べている。有力株主(Warburg Pincus(世界的に有名なプライベート・エクイティ・ファンドの)、Becamex IDC、ESRグループ(不動産アセットマネジメント会社))の支援を背景に、BWはベトナム経済のデジタル化とグリーン化を加速させるインフラプロバイダーとしての地位を固める構えである。

ホーチミン市の「データクリーンアップ」:戦略的資産の保護に向けた取り組み

2026年3月25日

ホーチミン市は現在、強力なデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、大規模な「データクリーン化」キャンペーンを展開している。市はデータを単なる蓄積情報ではなく、国の「戦略的資産」と位置づけ、情報の孤立状態を打破し、共有データ倉庫の構築を目指している。         ホーチミン市デジタルトランスフォーメーションセンター(HCMC-DXCENTER)のヴォ・ティ・チュン・チン所長に詳細を聞いた。

【データ主導の意思決定と行政サービス】
今回のキャンペーンは住民、土地、企業登記の3つの基盤分野に焦点を当てている。
行政の効率化: データのクリーン化と連結により、住民が何度も書類を提出する手間を省き、教育や都市計画などの分野でデータに基づいた正確な意思決定(エビデンスに基づく政策立案)を可能にする。
政府の役割変化: 紙ベースの管理からデータガバナンスへと移行し、市民へのサービス品質を向上させる。

【サイバーセキュリティと「能動的防御」】
共有データの集中管理に伴い、サイバーセキュリティが最優先課題となっている。ベトナム共産党事務局が発行した「指令57号(57-CT/TW)」に基づき、市は以下の対策を講じている。
能動的防御: 事後対応ではなく、システム設計段階からセキュリティを組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」を導入し、リスクを早期に特定・排除する。
階層管理と権限分離: 各機関が職務に必要なデータのみにアクセスできるよう厳格なアクセス制御を行い、すべての活動ログを監視する。

【今後の展望:国産技術と人材育成】
市は、データセキュリティの自主・自立を掲げ、国内のIT企業(Made in Vietnamソリューション)との連携を強化している。また、データの商用化を見据えたサンドボックス(実証実験)の構築や、デジタルスキルの普及活動を通じて、住民一人ひとりがデータ保護の重要な担い手となるエコシステムの形成を目指している。

トー・ラム書記長:ハイフォン市は「緑の海洋都市」および「住みたい都市」を目指すべき

2026年3月16日

トー・ラム書記長は、ハイフォン市(ベトナム第4の北部に位置する港湾都市:ハノイ市、ホーチミン市、ダナン市と並ぶ中央直轄都市)の発展計画について、長期的な視点を持つべきであると強調した。2045年までにアジア規模の現代的な工業・サービス港湾都市、そしてスマートで住みやすい「緑の海洋都市」を実現し、2100年までには世界的な競争力を備えた「海洋メガシティ」を構築するというビジョンを示した。


ハイフォン市による特区メカニズム・政策の提案:3月16日午前、トー・ラム書記長率いる中央作業代表団はハイフォン市共産党委員会と協議を行った。
経済成長: レ・ゴック・チャウ市長は、2025年のGRDP(地域内総生産)成長率が11.81%(全国2位)に達し、11年連続で2桁成長を維持していると報告した。また、地方競争力指数(PCI)や行政改革指数(PAR Index)でも全国トップクラスを維持している。
主な提案:
 市は持続的な成長を確保するため、以下の項目を中央政府に求めた。
  ‣首相権限である都市計画・機能区計画の承認および調整権限の地方への委譲
  ‣紅河デルタ地域計画および国家計画の早期承認(国際中継港、海洋経済センター、再生可能エネルギー拠点としての更新を含む)
  ‣国道10号、17B号、38号、タンブー・ラックフェン線などの主要交通インフラ拡張への資金支援
  ‣ハノイやホーチミン市に適用されている特有のメカニズムをハイフォン市にも導入するための決議226号の改正(制度的なボトルネックの解消)


長期的ビジョンの策定と国際競争力の強化
トー・ラム書記長は、同市の社会経済発展の成果を高く評価した上で、今後の役割を明確にするよう求めた。
位置づけ: ハイフォンは北部経済を牽引する成長極であり、ハイテク産業、国際物流(ロジスティクス)、現代的海洋経済の拠点となるべきである。ハノイ、クアンニンと共に「発展の動員三角地帯」を形成することが不可欠である。
・段階的なビジョン:
  ‣2030年まで: ラックフェン、ナムドソン、ヴァンウック川エリアを統合した現代的な海洋経済空間を構築し、北部のロジスティクス調整センターとなる。
  ‣2045年まで: アジア規模の工業・サービス都市、およびクリーンエネルギーと海洋科学技術の拠点となる。
  ‣2100年まで: 東アジアを代表する海洋メガシティへと発展し、気候変動に適応した持続可能な都市モデルを構築する。
最後に書記長は、「人間を開発の中心に据える」という観点を堅持し、成長の成果をすべての市民が享受できる社会を実現する必要があると強調した。また、市からの提案については、実情に即した正当なものであるとの認識を示した。

ベトナム首相:シルバー経済を成長の原動力へ転換

2026年3月11日

ファム・ミン・チン首相は11日、世界のシルバー経済(高齢者向け経済)の発展とベトナムの適応戦略に関する会議を主宰した。首相は、人口高齢化を「社会保障の負担」ではなく「国家発展の新たな機会」と捉え、包括的なエコシステムを構築する決意を強調した。


1. 世界的潮流と認識の転換

国連の予測によれば、2025年までに世界の高齢人口は12億人に達する。先進国では高齢層が個人消費の5割以上を占めるなど、シルバー経済は外部要因に左右されにくい持続可能な成長エンジンとして浮上している。首相は、ベトナムも従来の「保護・支援」という考え方から、高齢者の知恵と経験を「社会資源」として活用する「発展・創出」の考え方へ抜本的に転換すべきであると指摘した。

2. 現状と課題:制度整備の加速
ベトナムは定年年齢の調整や「世代間自助クラブ」の拡大など一定の成果を上げている。しかし、制度的枠組みの不足や、脆弱な長期ケア体制が家族や国家予算に重い負担を強いている現状がある。首相は、国民が「豊かになる前に老いる」リスクを直視し、高齢化を成長の空間へと変えるための制度改善が急務であると述べた。


3. シルバー経済を支える「三本柱」と「5つの重点行動」

首相は、今後の発展に向けた戦略的枠組みを提示した。

三本柱:
高齢者: 経験豊富な「供給力」と、高い購買力を持つ「需要の牽引役」としての主体。
・企業: イノベーションとサービス(健康観光、介護技術等)の実践の中心。
・国家: 制度設計と法的インセンティブを整備するアーキテクト。

5つの重点行動: 意識改革、高齢者向け複合施設(ハッピービレッジ等)の構築、民間サービスの振興、高齢者の社会的役割(教育・助言)の促進、高齢者協会の強化。


4. 省庁への具体的指示と期限

戦略を実効化するため、首相は各省庁に対し以下の任務を課した。
保健省: 戦略的ビジョンに基づく「高齢者法(改正案)」の策定および複合医療施設の試行。
財務省: 2026年第2四半期までに「2045年までのシルバー経済戦略」を提出。
外務省: 2027年APECにおける「シルバー経済」関連会議の主催。
公安省・内務省: 高齢者データベースの構築と、再雇用・生活支援メカニズムの検討。


5. 新時代に向けた展望

首相は、高齢化は発展の避けられない趨勢であり、積極的な適応が必要であると断言した。また、高齢者が新時代の国造りを先導する存在であることを期待し、「高齢者が模範を示し、健やかな老後を送り、国家発展の礎となる」という趣旨の24語のモットーを掲げ、全政治システムと社会の総力を挙げた取り組みを呼びかけた。

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