2026年10月6日
統計局(財政省)の発表によると、2026年第3四半期のGDP成長率は前年同期比9.95%増となり、年初9カ月累計で9.01%に達した。国会が掲げる「通年で10%以上」という成長目標を達成するためには、第4四半期に約12.5%という極めて高い成長率を記録する必要がある。
第3四半期を牽引した3つの原動力
年初9カ月および第3四半期の高成長は、相互に連動する3つの要素に支えられた。
1. 公共投資: 執行加速が建設業を押し上げ、民間投資の誘発や中長期的な生産能力の向上につながった。
2. 製造業と輸出: 世界的な需要低迷の中でも加工・製造業が回復を維持し、輸出の拡大が国内生産の堅固な支えとなった。
3. 国内消費: 家計の最終消費が改善し、観光や宿泊などのサービス需要が下支え役を果たした。高付加価値型への消費構造転換も進む。
なお、科学技術、イノベーション、デジタル経済などの「新たな成長エンジン」も浸透しつつあるが、現段階では補助的な役割にとどまり、主導的な推進力となるには制度改革や人材育成の継続が求められる。
第4四半期の課題:資金・受注を実質的な生産へ転換
目標達成に向けたハードルは高く、マクロ経済運営には為替やエネルギー・原材料価格の変動による輸入コスト増やインフレへの警戒が欠かせない。最大の焦点は、投資資金、受注、年末需要をいかに迅速かつ確実に「実際の生産量」へ転換できるかである。
・公共投資は、用地確保や行政手続き、資材供給のボトルネックを解消し、資金を実際の施工量へ結びつける必要がある。
・経済の対外依存度が高いため、主要市場の貿易政策やサプライチェーンの変動が製造業の受注に直結するリスクがある。また、受注や資金繰り、物流費は企業(特に中小企業)の稼働維持に直接影響する。
第4四半期は、投資を建設量へ、受注を製品出荷へ、年末需要をサービス実績へと直結させることが、2026年通年の目標達成を左右する決定打となる。
2026年10月5日
ベトナム共産党政治局は、新情勢下における低空域の開拓・管理・保護に関する「結論第99号」を発表した。低空域を国家主権と直結する新たな発展空間と位置付け、2030年までに国家級の無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)飛行試験場3カ所と研究・試験センター1カ所以上を稼働させる方針を決定した。
本方針は、半導体、人工知能(AI:Artificial Intelligence)、宇宙技術と連携しつつ、技術・データ基盤の自律性向上を目指すものである。主要UAV製品の国産化率目標を2030年に30〜40%超、2045年に85%超と設定。2045年には低空経済(低空域産業)を重要技術産業へ育成し、国内総生産の約1.5%を占める新成長エンジンと位置付けた。
管理体制では、2027年中に国際水準に適合した技術標準を整備する。低空域はエリアや高度層、リスク度別に区分管理され、登録・認証から運行・監視、違反対応までデジタル基盤上で一元統括される。また、国家計画や都市計画にも試験飛行エリアや制限空域の設定が組み込まれる。
産業振興策として軍民両用を基本方針とし、航空管制、自動運航、新素材等のコア技術獲得を推進する。税制・金融・用地の優遇策を通じ、物流、農業、救急医療、防災などの実需分野での商用化を促すほか、規制サンドボックス制度も導入する。公的調達による初期需要創出と国際協力を進め、独自技術と安全保障の両立を図る方針である。
2026年9月29日
シンガポールの半導体産業は、サムスンやインテルのような大手チップメーカーが拠点を置かない中でも、GDPの約6%を占め、約3万5,000人の高度人材を雇用している。背景には、約60年にわたる長期的な産業政策と研究・開発を中心としたエコシステムの形成がある。
A*STAR(:シンガポール科学技術研究庁)のド・アイン・トゥアン主任研究員によると、要因は三つある。第一に、政府による長期的な投資と政策の継続性である。第二に、政府、大学、研究機関、企業の連携である。A*STARなどの研究機関が大学の研究者・学生と企業をつなぎ、共同研究や人材育成を促進している。第三に、透明な法制度と強固な知的財産保護であり、企業が中核技術を持ち込んで研究できる環境を整えている。
シンガポールは半導体製造だけでなく、設計、製造、パッケージング、テスト、製造装置などサプライチェーンの複数分野に展開している。世界のチップ生産の約1割、半導体製造装置の約2割を占めるとされる。
ベトナムが2030年までに5万人の半導体技術者を育成するには、短期的な工場誘致だけでなく、10~30年を視野に入れた人材・研究・開発の戦略が必要である。高額な研究設備も一括導入ではなく、大学・企業が共同利用し、段階的に整備する方法が考えられる。重要なのは、政府、企業、大学の政策・投資・人材育成を一体化し、継続的に研究開発能力を高めることである。
2026年9月28日
現金決済や取引の分割、振込名義・内容の変更によっても、事業者の納税義務は変わらない。ハノイの一部店舗では現金払いを求めたり、銀行振込の場合に商品代金とは別に「税金」として追加料金を求めたりする事例が確認されている。
専門家によると、個人・世帯事業者は決済方法にかかわらず、実際の売上を申告し、規定に従って請求書を発行する必要がある。複数口座への分割入金や取引内容の変更も、税務当局によるデータ照合の対象となり得る。
2025年6月1日からは、年商10億ドン以上で消費者向けに商品・サービスを直接提供する対象事業者に、税務当局とデータ連携するレジ発行型電子請求書の利用が拡大された。請求書には商品名、数量、単価、決済額、発行時点などが記録され、売上管理に活用される。
また、商品販売時の請求書発行時点は、代金の受領の有無にかかわらず、商品の所有権・使用権を買い手に移転した時点である。実際の取引額より低い金額を請求書に記載して申告所得を過少計上し、脱税に該当する場合は、追徴課税に加えて脱税行為として処分される可能性がある。請求書を発行しない場合の行政処分も、違反件数に応じて定められている。
現金中心の取引は税務面だけでなく、事業者の売上・資金流入の履歴にも影響する。銀行は信用審査で取引データを活用するため、明確な入出金記録が少ない場合、融資時の売上・資金実態の証明が難しくなる可能性がある。
税務当局は現在、電子請求書、申告売上などのデータ連携とリスク分析を進め、売上の未申告や請求書上の過少計上など、不自然な取引の把握を強化している。
2026年9月25日
ベトナム国会常務委員会は9月23日、データ安全保障法案について審議した。データがデジタル経済・デジタル政府の基盤となる一方、サイバー攻撃やデータの窃取・漏えいなどのリスクが高まっており、政府は統一的な法的枠組みの整備が必要としている。
法案では、データの安全保障リスクを段階的に分類し、リスクに応じて管理する仕組みを導入する。国会側は、既存のサイバーセキュリティ法における情報システムの5段階の安全レベル、データ法の5段階の分類との整合性を確保するよう求めた。
越境データ移転については、国防・安全保障や国家主権に直接関係するデータの国外移転を厳格に管理する方針である。法案ではレベル4のデータは一部で原則として国外移転を禁止し、レベル3のデータは移転を制限するとしているが、データの重要度だけでなく、移転行為そのもののリスクも評価して管理することが提案された。
暗号技術については、公安省が研究・開発する「セキュリティ暗号」を既存の国家機密保護用暗号に代わるものではなく、特定の状況で補完する予備的な暗号技術として位置付ける案が示された。また、量子コンピューターによる暗号解読リスクを踏まえ、2035年までの耐量子暗号への移行計画も盛り込まれている。
法案は、データの収集、処理、保存、利用、共有、廃棄までのライフサイクル全体を対象とし、AIアルゴリズムのガバナンスも規定する方向である。一方、企業の営業秘密や商業データを保護しながら、国家による監視・緊急措置に対する権力統制を確保する必要性も指摘された。
国会常務委員会は、データ安全保障法、サイバーセキュリティ法、データ法、個人データ保護法の適用範囲と優先順位を明確化し、規制の重複を避けるよう求めた。また、企業のコンプライアンスコストを抑えるため、同等の国際的なセキュリティ認証を認める仕組みの検討も求めている。法案は修正後、国会第2会期での審議・採択に向けて提出される予定である。
2026年9月23日
ベトナムのトー・ラム書記長・国家主席は9月21日、ニューヨークで米通商代表部のジェミソン・グリア代表と会談した。両国の交渉団は相互貿易協定をめぐる協議で大きく前進し、最終的な合意に近づいていると確認された。
トー・ラム氏は、経済、貿易、投資が両国関係の重要な柱であり、企業や国民双方の利益に直結すると指摘した。ベトナムはこれまで、米国製品の購入拡大などを通じて貿易の均衡化に取り組んできた。
グリア代表は、ベトナム側の取り組みを評価し、両国の交渉団が多くの努力を重ね、立場の隔たりを縮小してきたと述べた。
両国は複数回の交渉を行い、2025年10月には「相互的、公正かつ均衡の取れた貿易協定の枠組みに関する共同声明」を発表することで合意した。同声明では、非関税障壁、デジタル貿易、サービス、投資、知的財産、持続可能な発展、サプライチェーンの強靱化などが主要な協議項目として示されている。
2025年の両国の貿易総額は約1,725億ドル(約26兆3,500億円)に達し、ベトナムの対米輸出は1,530億ドル超(約26兆円)、米国からの輸入は193億ドル(約3兆2,900億円)となった。2026年1~8月の貿易総額は1,374億ドル(約22兆1,000億円)に達し、ベトナムの対米輸出は1,220億ドル(約20兆7,000億円)、前年同期比23.2%増、米国からの輸入は154億ドル超(約2兆6,300億円)、同26.8%増となった。
※円換算は、ベトコムバンクの為替レート1 JPY=170.43 VNDを基に算出した。
両国は今後、相互の利益の均衡、対話、情報共有を維持し、貿易関係の安定と長期的な発展を目指す。ベトナムは米企業の国内での生産・事業拡大を促すとともに、米国製品のベトナム市場への参入を引き続き促進する方針である。
2026年9月22日
科学技術省のレー・スアン・ディン副大臣は9月21日、カインホア省で開かれた原子力発電に関するセミナーで、ベトナムが原子力発電計画を進めるには、法的枠組みの整備、人材育成、国内の関連産業の発展を早急に進める必要があると述べた。
同副大臣は、原子力発電は安定した電力供給、高い設備利用率、低い炭素排出量という特徴があり、再生可能エネルギーの比率が高まる電力システムを支える役割を持つと説明した。2024年末には国会が、8年間停止していたニントゥアン原子力発電計画の再開方針を決定している。
同氏によると、原子力発電は単なるエネルギー事業や技術選択ではなく、安全保障、人材、インフラ、資金、規制などを含む長期的な国家規模のプログラムである。そのため、国際基準に沿って慎重かつ透明性のある準備を進める必要がある。
現在の最優先課題は、原子力発電所の全ライフサイクルを対象とする法制度、規則、技術基準の整備である。各機関の権限と責任を明確化するとともに、規制当局が審査、許認可、監督を行える専門性と十分な資源を確保することが求められる。
人材育成も重要な課題である。2025年5月に承認された人材育成計画では、2030年までにニントゥアン1号・2号原子力発電所の運営などに必要な約4,000人を確保し、そのうち2,000人以上を大学・大学院レベルとする目標が設定されている。国内外の専門家を活用し、研究機関や大学による独立した技術支援体制を構築することも必要とされる。
また、建設、機械、技術サービスなどのサプライチェーンに国内企業が参加できる環境を整え、国内の原子力関連産業を段階的に形成することも課題となっている。
ニントゥアン1号はベトナム電力公社、2号はベトナム国家産業エネルギーグループ(ペトロベトナム)が投資主体となり、それぞれ2基の原子炉を建設する計画である。カインホア省では用地取得や住民移転への対応が進められており、共用インフラとして道路、港湾、給水、送電、デジタル、医療などの整備も求められている。
セミナーでは、中央政府、地方政府、投資主体の役割分担を明確にし、安全文化の確立、最新技術の導入、国際的な知見の活用を重視すべきだとの意見も示された。
2026年9月16日
ハノイ市は2026年9月、レアアース酸化物を半工業規模で生産する実証事業を承認した。規制サンドボックス(管理された環境で新技術を試験する制度)を活用し、研究成果の実用性と安全性を検証する。将来は半導体など高度技術産業向け材料の国内供給につなげる方針である。
1.純度95%超の酸化物を試験生産
実施主体は、ベトナムの鉱山建設・技術コンサルティング会社である。ハノイ市ホアラック・ハイテクパーク内の1,000平方メートルの施設で、TREO(総レアアース酸化物)純度95%超の製造技術を試験する。
試験期間は18カ月で、工場改修、試運転、稼働率30%から100%への段階的引き上げ、設備撤去、原状回復の5段階で実施する。設備の約80%は実施企業が自社で対応するとしている。
2.原料と製品利用を厳格に制限
使用できる原鉱石は、ライチャウ省ドンパオ鉱山から合法的に調達する最大100トンである。処理能力は1時間当たり100キログラム、運営人員は化学物質・放射線安全などの研修を受けた35人である。
試験で得た製品は分析、検査、技術改良にのみ使用でき、販売、流通、譲渡は禁止される。現地での採掘や恒久的な工業施設の建設も認められない。
3.排水・排ガス処理を検証
企業側によると、初期設備費の約50%を排ガス処理と閉鎖循環型の排水処理システムに充てる。湿式製錬工程では水の80%超を再利用し、重晶石、蛍石、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムなどの副産物も回収する計画である。
実証では、製品純度だけでなく、回収率、設備の安定性、化学物質・放射線安全、廃棄物、環境基準への適合性を確認する。
4.実証データを制度整備に活用
設備設置と原料搬入後、最初の精製品は6~7カ月後に生産する見通しである。その後、研究チームは軽レアアースの分離技術を改良する計画である。
レアアースは電子、エネルギー、防衛、スマート機器などに使われる。今回の実証結果は、商業化の可否を直ちに決めるものではないが、深加工技術の評価と、関連する政策、技術基準、安全・環境管理手順の整備に用いられる。