2026年8月17日
企業の最新発表および財務報告データ(2026年8月時点)によると、ベトナムの主要22企業・グループによる雇用規模は推計122万人超に達した。不動産、エネルギー、IT、小売、金融、インフラなど多様なセクターが雇用市場を支えている。
1. 基幹産業と民間大手:雇用を支える2大柱
雇用規模の上位には、急成長を遂げる民間コングロマリットと、全国に広大な事業網を持つ国営インフラ・資源企業が名を連ねている。
・コングロマリット:ビングループの国内エコシステム全体(関連会社を含む)で23万人を雇用し首位。不動産や電気自動車事業に加え、インフラ、交通、エネルギー分野への拡張に伴い、グループ単体の雇用数も大幅に増加している。
・国営エネルギー・資源・製造大手: ベトナム電力公社が約9万7,000人、ベトナム石炭鉱物産業グループが約9万4,900人、ベトナムゴム総公社が約7万5,900人、ベトナム石油ガスグループが約6万人を抱える。また、労働集約型産業である繊維・衣料公社も5万3,800人超の雇用を維持している。
2. IT・通信・小売:デジタル化と消費拡大による人員増強
デジタル化と消費市場の拡大を背景に、IT・通信および小売関連企業では積極的な人員増強の傾向が見られる。
・IT・通信: FPTが小売・通信子会社を含め8万100人超を雇用。軍隊工業通信グループが約5万5,000人、ベトナム郵便通信グループが約3万5,000人規模となっている。
・小売・消費財: モバイル・ワールドが約6万7,300人(前年末比約4%増)、マサングループが約4万3,000人(同6.6%増)と、店舗網や新規事業の拡大に伴い人員増強の傾向が顕著である。
3. 金融・インフラ・FDI企業:安定雇用と大規模製造の役割
安定した雇用を維持する金融・公共インフラ分野に加え、大規模な製造拠点を持つ外資系企業もベトナムの労働市場において極めて重要な役割を果たしている。
・銀行セクター: ベトナム農業農村開発銀行(AGRIBANK、約4万1,800人)を筆頭に、ベトナム繁栄商業銀行(VPBANK)、ベトナム投資開発銀行(BIDV)、ベトナム工商銀行(VIETINBANK)、ベトナム外国貿易銀行(VIETCOMBANK)がいずれも2万人以上の雇用を維持。人員変動率は1〜3%程度と相対的に安定している。
・インフラ・運輸: ベトナム航空(約2万3,700人)、ベトナム鉄道総公社(約2万2,200人)、ベトナム郵便公社(約2万800人)が全国的なネットワークを背景に大規模雇用を支える。
・FDI(外資)企業: フアリ(Huali、約16万9,000人)、フォックスコン(Foxconn)、ポーチェン(Pou Chen)など、10万人規模の雇用を抱える外資系製造大手もベトナムの労働市場で大きな存在感を示している。
2026年8月12日
半導体が戦略的競争分野となる中、フランスにあるファーウェイ研究センターのグエン・ヴァン・ミン無線・AI計算研究部門長は、フランスの半導体戦略とベトナムへの示唆について見解を述べた。
1. フランスの戦略:特定分野における「戦略的自主性」
フランスおよびEUの目標は、半導体バリューチェーン全体の自給自足ではなく、重要領域における「戦略的自主性」の確立である。最先端の製造プロセスすべてで直接競合するのではなく、以下の自国の産業的強みに特化している。
・優先領域: 産業用半導体、省電力チップ、車載・エネルギー・通信向けの高信頼性システム。
・後工程・パッケージング技術: チップレットや先端パッケージング技術、特にAI計算においては、単なる計算能力だけでなく、省エネ性能、メモリ帯域幅、データ伝送能力、チップ構造・パッケージング・システム最適化の組み合わせが極めて重要となる。
2. ベトナム半導体産業への示唆とロードマップ
ベトナムは3nmや2nmといった最先端プロセスのみに固執せず、実質的なニーズに応じたアプローチをとる必要がある。
・段階的なロードマップ: 材料・ウェハ・サプライチェーンの育成→ テスト・先端パッケージング・チップレット技術→ 28nm/20nmなどの汎用プロセスでの製造→ 産業・車載・IoT・エッジAI向けチップの開発。
・AIと半導体の融合: AIアクセラレータや高効率計算、省電力チップ、エッジAI、次世代通信向けAI領域において、アルゴリズム・ソフトウェア・ハードウェア設計を組み合わせた独自の強みを構築する。
・人材育成: アルゴリズム層(AI・信号処理・通信アルゴリズムと最適化)、ハードウェア設計層(ASIC・回路設計・検証)、製造・パッケージング・テスト層のバリューチェーン全体を見据えた人材育成が不可欠である。
3. 仏越協力とエコシステム構築
ベトナム国家イノベーションセンターとダッソー・システムズの連携など、産業デジタル変革、デジタルツインや製品ライフサイクル管理における協力が進んでいるが、これらは産業支援基盤であり、チップ設計やAIアクセラレータ開発といった半導体のコア技術そのものではない。したがって、産業高度化プログラムと並行して半導体専用の協力枠組みを構築する必要がある。
2026年8月11日
ベトナム政府は、国有企業における国有資本の再編を加速させている。産業および企業の戦略的重要性に応じて「100%」、「65%以上」、「50%超〜65%未満」の3つの国有資本保有比率基準が新たに設定された。(首相決定第40/2026/QĐ-TTg号、2026年8月5日発効)
本枠組みは、根幹分野へ国有資本を集中させるとともに、その他の分野での民間参入や資本引き上げを推進することを目的としている。
1. 産業別の国有資本保有基準
・100%保有: 必須公共サービス、自然独占(1社供給が効率的な産業)、ハイテク、科学技術、イノベーション・DX、インフラ案件(交通・水利・エネルギー・デジタル)。
・65%以上保有: 空港管理・運航、航空輸送、重要港湾運営、大規模鉱物採掘、金融・銀行、機械工学、上下水道。
・50%超〜65%未満保有: 通信インフラ、鉱物探査、市場シェア30%以上の燃料輸入・セメント製造など。
※多部門展開企業においては、再編計画承認前3年間の売上高または生産高で最大割合を占める部門の基準が適用される。
2. 影響を受ける主要国有企業
・ペトロリメックス: 国有比率基準が「50%超〜65%未満」となるため、現在約75.8%を保有する政府は約11%の株式を売却する可能性がある。
・ベトナム空港公社: 「65%以上」が基準となるため、現在95.4%を保有する財務省からの追加売却が検討される可能性がある。
・その他: Dam Phu My(ペトロベトナム傘下の肥料会社、同社が約59.5%保有)やDAP-Vinachem(ベトナム化学グループ傘下企業、Vinachemが約64%保有)なども国有比率の見直し対象となる見込み。
3. 実施スケジュールと今後の見通し
政府は、Viettel、Vietcombank、VietinBank、BIDV(通信最大手1社、主要国有銀行3行)を除く19の主要国有グループ・公社に対し、8月12日までに財務省へ再編案を提出するよう命じた。
各省庁および地方自治体は8月31日までに5カ年再編計画を承認する必要がある。BIDV傘下の証券会社の分析によると、今回の見直しにより2016〜2018年同様のダイベストメント(保有資産・株式の売却)の波が到来し、株式市場への株式供給量が増加すると予想されている。
2026年8月6日
ベトナムは過去12年間にわたり、消費者物価指数(CPI)の上昇率を政府目標(多くの年で4%未満)内に抑え、マクロ経済の安定や自国通貨ドン相場の維持を実現してきた。しかし、2026年上半期はCPIが上昇を続け、政府の通年目標(4.5%)に接近しており、インフレ抑制策の強化が求められている。
1. 需給動向と貿易収支の構造変化
2026年上半期の実質GDP成長率は8.18%と近年で最も高い伸びを記録し、最終消費は8.15%増、総資本形成は15.2%増となった。通常、需要に対して供給が十分であれば物価は安定するが、以下の要因がCPIを押し上げた。
・主要費目の高騰: CPIバスケット(代表的な商品・サービス)で最大のウェイトを占める食品・外食サービス(4.79%増)、住宅・電気・水・燃料・建設資材(6.72%増)、運輸(5.23%増)が全体を牽引した。
・貿易収支の赤字転換: 10年続いた貿易黒字から一転し、2026年上半期は166.6億ドルの貿易赤字(サービス収支を含めると210億ドル超の赤字)を記録した。加工・組み立て産業用の中間財の輸入依存度が高いため、輸入増加が国内需要を一段と押し上げ、インフレ圧力となった。
・資金移動の拡大: 金・不動産・暗号資産市場から製造業や企業投資、消費財市場へ資金がシフトし、需要側の物価上昇圧力を高めた。
2. 生産コストの上昇と経済効率の低下
工業生産者物価および原材料価格が5.4%上昇、倉庫・物流サービス価格が4.6%上昇し、いずれもCPI上昇率を上回った。また、工業生産(10.8%増)の伸びが付加価値額(9.86%増)の伸びを上回っており、中間投入コストの高騰が企業の収益性を圧迫し、さらなる物価上昇圧力(コスト押しインフレ)を生み出している。
3. 財政・金融要因と為替リスク
・財政黒字のインフレ抑制効果: 国家財政収入が前年同期比17.4%増となった一方、歳出は0.1%増にとどまり、419.1兆ドンの財政黒字を計上した。市場の余剰流動性を吸収し、投機的市場への資金流入を防ぐことで、インフレ期待の抑制に寄与した。
・信用成長と預金のギャップ: 6月26日時点の信用成長率は7.41%となり、預金増加率(6.11%)を上回った。この乖離は銀行システムの流動性を圧迫し、通貨供給量を増やしてインフレリスクを高める要因となる。
・為替レートの影響: 上半期のVND/USD平均レートは1.75%のドン安となり、比較的安定して推移した。しかし、大幅な貿易赤字とドル建て輸入価格の上昇が続く中、さらなるドン安が進めば輸入インフレが悪化するリスクがある。
年内の残り期間において実効性のある物価安定化策が講じられなければ、ベトナムは12年ぶりに通年CPI目標(4.5%)を超過する恐れがある。目標超過は強い経済成長の成果を相殺し、マクロ経済の安定を損なうとともに、生活者(消費者)のリアルな購買力を低下させるリスクをはらんでいる。
2026年8月4日
第33回外交会議の傍ら、ベトナム駐日大使ファム・クアン・ヒエウ氏は、両国が科学技術分野で大きな協力の可能性を持つと強調した。日本の「Society 5.0」に学び、技術は単なる導入ではなく社会課題の解決に資するべきであると述べた。 ※Society 5.0:AIやIoTなどを活用し、社会課題の解決と経済発展を両立することを目指す日本の未来社会構想。
1. 日本のアプローチから学ぶ点:
・デジタル化は具体的な社会的ニーズから始めるべきである。
・技術導入は管理方法や人材育成と一体で進める必要がある。
・誰一人取り残さないことが重要である。
2.協力の重点分野:
①AIとロボット
・日本の製造技術・ロボット・ハードウェアと、ベトナムのソフトウェア開発力・若い技術者を組み合わせる。
・スマート工場、物流、医療、高齢者ケア、行政サービスに応用可能である。
②半導体とデジタル基盤
・人材育成や組立工場誘致に留まらず、チップ設計、パッケージング、データセンター、クラウドコンピューティングなどの高付加価値分野で共同研究開発を進める。
③生活密着型分野
・医療、スマート農業、クリーンエネルギー、防災技術などへの技術応用。
・大学・研究機関・企業の連携により研究成果を実用化する。
3.AIと人材に関する見解:
・AIは人材の代替ではなく支援である。
・教育改革と技能訓練により、労働者がAIを使いこなし生産性を高めるべきである。
・データ保護、知的財産権、AI利用に関するルール整備が不可欠である。
・国際協力、とりわけ日本との共同研究・人材交流が重要である。
大使は「AIは新しい職業と機会を生み出す。教育・技能・インフラを整備すれば、ベトナムは若い労働力の強みを活かし、科学技術協力を通じて持続的発展を実現できる」と強調した。
2026年8月3日
ベトナムのレ・ミン・フン首相は、2026年8月3日の政府定例会議において、2026年中の二桁経済成長目標を支援するため、中小企業および個人事業主を対象とした法人税減税措置を早期に検討・実施するよう財務省に指示した。法人税法の改正案を国会へ早期提出し、今年度からの適用を目指すとともに、個人事業主の法人化を促す支援メカニズムも整備する方針である。
1. 2026年年初7ヶ月の主要経済指標
マクロ経済は安定を維持しているものの、下半期に向けた成長圧力および外部リスクへの対応が求められている。
● 財政・投資動向:
❏国家予算収入:約1,830兆ドン(約10.63兆円)に達し、年間計画の72.5%を達成。
❏公共投資実行額:約425.3兆ドン(約2.47兆円 / 計画の41.9%)。
❏海外直接投資(FDI)新規登録:80億米ドル(約5.84兆円 / 前年同期比58%増)。
❏輸出入総額:約6,600億米ドル(約101.47兆円 / 同28.1%増)。
● 生産・物価・観光:
❏7月のIIP(鉱工業生産指数)は前年同月比14.5%増と大幅伸長。
❏7月のCPI(消費者物価指数)は前月比0.12%減、年初7ヶ月平均で前年同期比4.39%増。
❏ベトナムへの外国人訪問者数は累計で過去最高の約1,400万人を記録した。
2. マクロ経済運営と金融・財政政策の方針
二桁成長目標の達成に向け、財政・金融の両面から機動的な政策運営が推進される。
● 財政政策の展開(財務省): 拡張的かつ重点的な財政政策を維持。付加価値税、法人税、所得税、土地賃貸料の納付期限延長を通じた資金繰り支援を継続する。また、公共投資資金の執行進捗を評価する試みを開始し、2026年中の公的資金100%執行を目指す。さらに、2026年中の基本給引き上げに向けた財源確保も進める。
● 金融政策の展開(ベトナム国家銀行):
金利・為替の安定化と十分な流動性の確保を継続。7月29日時点の全経済の信用残高(貸出残高)は20,150兆ドン(約115.60兆円 / 前年末比8.38%増)に達した。8月1日より、預貸率(LDR)算出における国庫定期預金の算入比率を20%から50%へ引き上げ、銀行の資金供給余地を拡大。4大国営商業銀行により、中小企業および優先分野向けに総額220兆ドン(約1.26兆円)規模の優遇融資パッケージが組成された。
※注:ベトコムバンク公表の販売レート「1 USD = 26,480.00 VND」、「1 JPY = 174.31 VND」に基づいて算出
2026年7月26日
ベトナム政府は、国会に対し「ハノイ首都圏第5環状道路建設プロジェクト」の投資方針承認を求める提案書(第442/TTr-CP号)を提出した。本プロジェクトは、ハノイ市を含む7省市を通過する全長約349kmの完全6車線高速道路整備計画であり、概算総投資額は約288兆2,680億ドン(約1兆7,364億円)に達する。2030年までの部分完成・2031年供用開始、2035年までの全線完成を目指す。
1. プロジェクトの全体概要と資金構造
本道路は、ハノイ市イエンバイ地区を起終点とし、ハノイ市、ニンビン省、フンイエン省、ハイフォン市、バクニン省、タイグエン省、フート省の7地方自治体を接続する。
● 事業規模と用地: 計画規格は6車線の高速道路であり、概算用地需要は約4,010.6haである。
● 資金調達と役割分担: 公共投資方式を基本とする。中央政府予算は高速道路本線の用地徴用および建設に充てられ、地方政府予算は併設道路、緑化帯、歩道の整備および用地徴用を担う。
2. 企業立ち退き支援策
政府はプロジェクトの迅速な推進に向け、10の特例政策の適用を要求している。このうち8項目は過去の国家重要案件で適用実績のあるものであり、特に注目される新規の2政策の概要は以下の通りである。
● 企業向け用地補償の特例(第9の政策): 用地回収により操業継続が困難となった製造企業に対し、移転先工業用地の用地徴用およびインフラ整備を地方自治体が実施し、その費用を本プロジェクトの補償・再定住コンポーネントに計上することを認める。
● 投資形態変更の柔軟化(第10の政策): 公共投資として承認された後も、建設省大臣または省級人民委員会主席の決定により、国会への再承認手続きを経ることなく官民連携方式への変更・民間資金動員を可能とする。
3. 段階的投資シナリオと優先整備区間
建設準備に約3年、施工に2〜3年を要することを見込み、政府は2つの段階的投資プランを比較検討した。
● 案1/区間別優先投資案(政府推奨): 2026〜2030年の期間において、中央予算(約59兆7,000億ドン/ 約3,596億円)を優先度の高い東部区間(タイハ橋〜バクザン・ランソン高速JCT間、約116km、事業費約77兆ドン/ 約4,638億円)の完全6車線化建設に集中投入する。早期供用による投資効果が見込めるため、政府はこちらの案を推奨している。
● 案2/項目別優先投資案: 2026〜2030年に全線の用地徴用(約49兆8,510億ドン)を先行完了させる案だが、道路が早期に形成されず土地の空き地化や資金の非効率化を招くリスクが指摘された。
4. 今後のスケジュール
2026年の投資主張承認、2026〜2027年の実現可能性調査承認および用地回収を経て、2027年末の着工、2030年の東部区間完成・2031年供用開始を目指す。残る区間については2031〜2035年に資金調達を行い、2035年までに全線の環状線を完成させる計画である。
※2026年7月23日時点のレートで換算
(1 JPY = 166.01 VND、1 USD = 26,520 VND)
2026年7月23日
ベトナムで大型鉄道インフラプロジェクトが相次いで始動しており、鉄道技術分野の労働需要がかつてない規模で高まっている。国会で承認された総投資額約1,713兆ドン(約10兆9,700億円:2026年7月23日時点のレートで換算)規模の「南北高速鉄道プロジェクト」をはじめ、ハノイ・ホーチミン両市の都市鉄道、主要幹線鉄道の建設に伴い、建設・運行・保守を担う専門人材の育成が国家的な急務となっている。
1. 鉄道プロジェクトの拡大と人材需要
政府の「2035年までのベトナム鉄道人材育成・発展プロジェクト(首相決定第2230/QĐ-TTg号)」に基づき、2025〜2030年の期間に少なくとも35,000人の新規人材を育成する目標が掲げられている。
● 全体労働需要: ベトナム鉄道局の試算によると、2025〜2030年における同分野の総労働需要(プロジェクト管理、コンサルティング、エンジニア、技術者、現場作業員等を含む)は最大で約33万8,000人に達する。高速鉄道等の主要路線稼働時には、運行要員のみで約2万人が必要とされる。
● 必要とされる専門分野: 鉄道建設工学、輸送運行管理、信号・通信、電気・電化、機関車・客車、電気機械・自動制御、プロジェクト管理など多岐にわたる。国内外のEPC事業者や国際コンサルタント、設備サプライヤーでの就職機会が見込まれている。
2. 育成体制と教育現場の課題
大学教育においては、「鉄道工学」という単一の名称ではなく、土木・交通・運輸・機械・電気電子・自動制御などの既存学科で基礎を学び、その後鉄道専攻へ進むコース設計が一般的である。
● 求められるスキルセット: 構造物、車両、信号制御、電化、安全管理などの専門知識に加え、外国語、IT、BIM、プロジェクト管理能力が重視されている。
● 指導者・専門家の不足: 建設省の指摘によると、現代的な鉄道技術を備えた指導教員や高度専門家がベトナム国内で不足している。海外専門家への依存度を下げ、自国で技術を内製化するための人材基盤構築が急務となっている。 ● 主要育成機関: 交通運輸大学(ハノイ/ホーチミン)、ハノイ建設大学、ハノイ工科大学、ホーチミン市工科大学などが関連学科を設置している。
3. 高度技術人材の確保に向けたボトルネック
鉄道工学分野は複雑なシステム運用と厳格な安全基準が求められる領域であり、単なる人員数だけでなく「質の高い技術者」の確保が最大の課題となっている。
● 現場での実務要求: 現場施工やインフラ維持管理への直接従事、工事進捗に応じた移動、厳格な安全規制の遵守が求められる。また、国際案件では外国語での技術ドキュメント読解や海外専門家との協働能力が不可欠となる。
● 教育インフラの拡充: 国内のトレーニングプログラム、講師陣、実験・実習設備のアップデートを図り、高速鉄道や都市鉄道といった次世代システムに対応できる技術波及・吸収能力を育むことが求められている。