インフレ圧力への直面と対応

2026年8月6日

ベトナムは過去12年間にわたり、消費者物価指数(CPI)の上昇率を政府目標(多くの年で4%未満)内に抑え、マクロ経済の安定や自国通貨ドン相場の維持を実現してきた。しかし、2026年上半期はCPIが上昇を続け、政府の通年目標(4.5%)に接近しており、インフレ抑制策の強化が求められている。

1. 需給動向と貿易収支の構造変化
2026年上半期の実質GDP成長率は8.18%と近年で最も高い伸びを記録し、最終消費は8.15%増、総資本形成は15.2%増となった。通常、需要に対して供給が十分であれば物価は安定するが、以下の要因がCPIを押し上げた。
主要費目の高騰: CPIバスケット(代表的な商品・サービス)で最大のウェイトを占める食品・外食サービス(4.79%増)、住宅・電気・水・燃料・建設資材(6.72%増)、運輸(5.23%増)が全体を牽引した。
貿易収支の赤字転換: 10年続いた貿易黒字から一転し、2026年上半期は166.6億ドルの貿易赤字(サービス収支を含めると210億ドル超の赤字)を記録した。加工・組み立て産業用の中間財の輸入依存度が高いため、輸入増加が国内需要を一段と押し上げ、インフレ圧力となった。
・資金移動の拡大: 金・不動産・暗号資産市場から製造業や企業投資、消費財市場へ資金がシフトし、需要側の物価上昇圧力を高めた。

2. 生産コストの上昇と経済効率の低下
工業生産者物価および原材料価格が5.4%上昇、倉庫・物流サービス価格が4.6%上昇し、いずれもCPI上昇率を上回った。また、工業生産(10.8%増)の伸びが付加価値額(9.86%増)の伸びを上回っており、中間投入コストの高騰が企業の収益性を圧迫し、さらなる物価上昇圧力(コスト押しインフレ)を生み出している。

3. 財政・金融要因と為替リスク
財政黒字のインフレ抑制効果: 国家財政収入が前年同期比17.4%増となった一方、歳出は0.1%増にとどまり、419.1兆ドンの財政黒字を計上した。市場の余剰流動性を吸収し、投機的市場への資金流入を防ぐことで、インフレ期待の抑制に寄与した。
・信用成長と預金のギャップ: 6月26日時点の信用成長率は7.41%となり、預金増加率(6.11%)を上回った。この乖離は銀行システムの流動性を圧迫し、通貨供給量を増やしてインフレリスクを高める要因となる。
・為替レートの影響: 上半期のVND/USD平均レートは1.75%のドン安となり、比較的安定して推移した。しかし、大幅な貿易赤字とドル建て輸入価格の上昇が続く中、さらなるドン安が進めば輸入インフレが悪化するリスクがある。

年内の残り期間において実効性のある物価安定化策が講じられなければ、ベトナムは12年ぶりに通年CPI目標(4.5%)を超過する恐れがある。目標超過は強い経済成長の成果を相殺し、マクロ経済の安定を損なうとともに、生活者(消費者)のリアルな購買力を低下させるリスクをはらんでいる。

ベトナム・日本、科学技術協力の新たな展望

2026年8月4日

第33回外交会議の傍ら、ベトナム駐日大使ファム・クアン・ヒエウ氏は、両国が科学技術分野で大きな協力の可能性を持つと強調した。日本の「Society 5.0」に学び、技術は単なる導入ではなく社会課題の解決に資するべきであると述べた。                                              ※Society 5.0:AIやIoTなどを活用し、社会課題の解決と経済発展を両立することを目指す日本の未来社会構想。


1. 日本のアプローチから学ぶ点:
・デジタル化は具体的な社会的ニーズから始めるべきである。
・技術導入は管理方法や人材育成と一体で進める必要がある。
・誰一人取り残さないことが重要である。

2.協力の重点分野:
①AIとロボット
・日本の製造技術・ロボット・ハードウェアと、ベトナムのソフトウェア開発力・若い技術者を組み合わせる。
・スマート工場、物流、医療、高齢者ケア、行政サービスに応用可能である。
半導体とデジタル基盤
・人材育成や組立工場誘致に留まらず、チップ設計、パッケージング、データセンター、クラウドコンピューティングなどの高付加価値分野で共同研究開発を進める。
生活密着型分野
・医療、スマート農業、クリーンエネルギー、防災技術などへの技術応用。
・大学・研究機関・企業の連携により研究成果を実用化する。

3.AIと人材に関する見解:
・AIは人材の代替ではなく支援である。
・教育改革と技能訓練により、労働者がAIを使いこなし生産性を高めるべきである。
・データ保護、知的財産権、AI利用に関するルール整備が不可欠である。
・国際協力、とりわけ日本との共同研究・人材交流が重要である。

大使は「AIは新しい職業と機会を生み出す。教育・技能・インフラを整備すれば、ベトナムは若い労働力の強みを活かし、科学技術協力を通じて持続的発展を実現できる」と強調した。

ベトナムの首相、2026年中の二桁成長達成に向け中小企業向け法人税減税を指示

2026年8月3日

ベトナムのレ・ミン・フン首相は、2026年8月3日の政府定例会議において、2026年中の二桁経済成長目標を支援するため、中小企業および個人事業主を対象とした法人税減税措置を早期に検討・実施するよう財務省に指示した。法人税法の改正案を国会へ早期提出し、今年度からの適用を目指すとともに、個人事業主の法人化を促す支援メカニズムも整備する方針である。


1. 2026年年初7ヶ月の主要経済指標
マクロ経済は安定を維持しているものの、下半期に向けた成長圧力および外部リスクへの対応が求められている。
財政・投資動向:
❏国家予算収入:約1,830兆ドン(約10.63兆円)に達し、年間計画の72.5%を達成。
❏公共投資実行額:約425.3兆ドン(約2.47兆円 / 計画の41.9%)。
❏海外直接投資(FDI)新規登録:80億米ドル(約5.84兆円 / 前年同期比58%増)。
❏輸出入総額:約6,600億米ドル(約101.47兆円 / 同28.1%増)。
生産・物価・観光:
❏7月のIIP(鉱工業生産指数)は前年同月比14.5%増と大幅伸長。
❏7月のCPI(消費者物価指数)は前月比0.12%減、年初7ヶ月平均で前年同期比4.39%増。
❏ベトナムへの外国人訪問者数は累計で過去最高の約1,400万人を記録した。


2. マクロ経済運営と金融・財政政策の方針
二桁成長目標の達成に向け、財政・金融の両面から機動的な政策運営が推進される。
財政政策の展開(財務省): 拡張的かつ重点的な財政政策を維持。付加価値税、法人税、所得税、土地賃貸料の納付期限延長を通じた資金繰り支援を継続する。また、公共投資資金の執行進捗を評価する試みを開始し、2026年中の公的資金100%執行を目指す。さらに、2026年中の基本給引き上げに向けた財源確保も進める。
金融政策の展開(ベトナム国家銀行):
金利・為替の安定化と十分な流動性の確保を継続。7月29日時点の全経済の信用残高(貸出残高)は20,150兆ドン(約115.60兆円 / 前年末比8.38%増)に達した。8月1日より、預貸率(LDR)算出における国庫定期預金の算入比率を20%から50%へ引き上げ、銀行の資金供給余地を拡大。4大国営商業銀行により、中小企業および優先分野向けに総額220兆ドン(約1.26兆円)規模の優遇融資パッケージが組成された。


※注:ベトコムバンク公表の販売レート「1 USD = 26,480.00 VND」、「1 JPY = 174.31 VND」に基づいて算出

ハノイ首都圏第5環状道路プロジェクト、国会へ提案

2026年7月26日

ベトナム政府は、国会に対し「ハノイ首都圏第5環状道路建設プロジェクト」の投資方針承認を求める提案書(第442/TTr-CP号)を提出した。本プロジェクトは、ハノイ市を含む7省市を通過する全長約349kmの完全6車線高速道路整備計画であり、概算総投資額は約288兆2,680億ドン(約1兆7,364億円)に達する。2030年までの部分完成・2031年供用開始、2035年までの全線完成を目指す。

1. プロジェクトの全体概要と資金構造

本道路は、ハノイ市イエンバイ地区を起終点とし、ハノイ市、ニンビン省、フンイエン省、ハイフォン市、バクニン省、タイグエン省、フート省の7地方自治体を接続する。

事業規模と用地: 計画規格は6車線の高速道路であり、概算用地需要は約4,010.6haである。

資金調達と役割分担: 公共投資方式を基本とする。中央政府予算は高速道路本線の用地徴用および建設に充てられ、地方政府予算は併設道路、緑化帯、歩道の整備および用地徴用を担う。

2. 企業立ち退き支援策

政府はプロジェクトの迅速な推進に向け、10の特例政策の適用を要求している。このうち8項目は過去の国家重要案件で適用実績のあるものであり、特に注目される新規の2政策の概要は以下の通りである。

企業向け用地補償の特例(第9の政策): 用地回収により操業継続が困難となった製造企業に対し、移転先工業用地の用地徴用およびインフラ整備を地方自治体が実施し、その費用を本プロジェクトの補償・再定住コンポーネントに計上することを認める。

投資形態変更の柔軟化(第10の政策): 公共投資として承認された後も、建設省大臣または省級人民委員会主席の決定により、国会への再承認手続きを経ることなく官民連携方式への変更・民間資金動員を可能とする。

3. 段階的投資シナリオと優先整備区間

建設準備に約3年、施工に2〜3年を要することを見込み、政府は2つの段階的投資プランを比較検討した。

案1/区間別優先投資案(政府推奨): 2026〜2030年の期間において、中央予算(約59兆7,000億ドン/ 約3,596億円)を優先度の高い東部区間(タイハ橋〜バクザン・ランソン高速JCT間、約116km、事業費約77兆ドン/ 約4,638億円)の完全6車線化建設に集中投入する。早期供用による投資効果が見込めるため、政府はこちらの案を推奨している。

案2/項目別優先投資案: 2026〜2030年に全線の用地徴用(約49兆8,510億ドン)を先行完了させる案だが、道路が早期に形成されず土地の空き地化や資金の非効率化を招くリスクが指摘された。

4. 今後のスケジュール

2026年の投資主張承認、2026〜2027年の実現可能性調査承認および用地回収を経て、2027年末の着工、2030年の東部区間完成・2031年供用開始を目指す。残る区間については2031〜2035年に資金調達を行い、2035年までに全線の環状線を完成させる計画である。

※2026年7月23日時点のレートで換算
(1 JPY = 166.01 VND、1 USD = 26,520 VND)

メガプロジェクト推進で鉄道技術人材3.5万人が不足:AI代替困難な需要急増と教育課題

2026年7月23日

ベトナムで大型鉄道インフラプロジェクトが相次いで始動しており、鉄道技術分野の労働需要がかつてない規模で高まっている。国会で承認された総投資額約1,713兆ドン(約10兆9,700億円:2026年7月23日時点のレートで換算)規模の「南北高速鉄道プロジェクト」をはじめ、ハノイ・ホーチミン両市の都市鉄道、主要幹線鉄道の建設に伴い、建設・運行・保守を担う専門人材の育成が国家的な急務となっている。

1. 鉄道プロジェクトの拡大と人材需要

政府の「2035年までのベトナム鉄道人材育成・発展プロジェクト(首相決定第2230/QĐ-TTg号)」に基づき、2025〜2030年の期間に少なくとも35,000人の新規人材を育成する目標が掲げられている。

全体労働需要: ベトナム鉄道局の試算によると、2025〜2030年における同分野の総労働需要(プロジェクト管理、コンサルティング、エンジニア、技術者、現場作業員等を含む)は最大で約33万8,000人に達する。高速鉄道等の主要路線稼働時には、運行要員のみで約2万人が必要とされる。
必要とされる専門分野: 鉄道建設工学、輸送運行管理、信号・通信、電気・電化、機関車・客車、電気機械・自動制御、プロジェクト管理など多岐にわたる。国内外のEPC事業者や国際コンサルタント、設備サプライヤーでの就職機会が見込まれている。

2. 育成体制と教育現場の課題

大学教育においては、「鉄道工学」という単一の名称ではなく、土木・交通・運輸・機械・電気電子・自動制御などの既存学科で基礎を学び、その後鉄道専攻へ進むコース設計が一般的である。

求められるスキルセット: 構造物、車両、信号制御、電化、安全管理などの専門知識に加え、外国語、IT、BIM、プロジェクト管理能力が重視されている。
指導者・専門家の不足: 建設省の指摘によると、現代的な鉄道技術を備えた指導教員や高度専門家がベトナム国内で不足している。海外専門家への依存度を下げ、自国で技術を内製化するための人材基盤構築が急務となっている。                                                   ● 主要育成機関: 交通運輸大学(ハノイ/ホーチミン)、ハノイ建設大学、ハノイ工科大学、ホーチミン市工科大学などが関連学科を設置している。

3. 高度技術人材の確保に向けたボトルネック

鉄道工学分野は複雑なシステム運用と厳格な安全基準が求められる領域であり、単なる人員数だけでなく「質の高い技術者」の確保が最大の課題となっている。

現場での実務要求: 現場施工やインフラ維持管理への直接従事、工事進捗に応じた移動、厳格な安全規制の遵守が求められる。また、国際案件では外国語での技術ドキュメント読解や海外専門家との協働能力が不可欠となる。

教育インフラの拡充: 国内のトレーニングプログラム、講師陣、実験・実習設備のアップデートを図り、高速鉄道や都市鉄道といった次世代システムに対応できる技術波及・吸収能力を育むことが求められている。

日越コンソーシアム、ハノイ市ゴックホイ鉄道ターミナル複合施設を提案

2026年7月17日

日本企業4社(トライブホールディングスジャパン、インフロニア・グループ、双日、RSホールディングス)およびベトナムのT&Tグループからなるコンソーシアムは、ハノイ市ゴックホイ鉄道ターミナルおよび周辺エリアにおけるTODモデルを用いた複合都市開発プロジェクトの投資提案書を首相へ提出した。※TOD:Transit-Oriented Development

1. プロジェクトの全体構造と2つのコンポーネント

本案件は、鉄道ターミナル整備と周辺都市開発の2つの事業区分で構成される。

コンポーネント1(ターミナル建設): PPP方式(官民連携方式)、BT契約(建設・譲渡契約)、土地対価支払い型にて実施。ハノイ市南部の複合交通結節点(マルチモーダルハブ)として、南北高速鉄道、国家鉄道、都市鉄道(メトロ1号線、6号線、1A延伸線)を結節する。※PPP:Public-Private Partnership、BT:Build-Transfer 

コンポーネント2(TOD都市開発): コンポーネント1の対価として割り当てられる用地を活用し、事業者側の自己資金100%で周辺のスマート都市を開発する。

2. ターミナル施設(コンポーネント1)の概要と資金計画

開発予定地はハノイ市ゴックホイ地区の約92.2haで、首都南部の物流・旅客の要衝となる。

施設機能と処理能力: 高速鉄道および国家鉄道の旅客ターミナル(日平均1万〜3万人利用想定)、都市鉄道ターミナル(日平均9万〜12万人利用想定)に加え、中央運行管理タワー(3.2ha)、バスターミナル(1ha)、車両基地・整備デポ(86.3ha)を整備する。
事業費とスケジュール: 総投資額は約32兆3,690億ドン(約1,937億円)。自己資金が15%(約4兆8,550億ドン、約290億円)、残りの85%(約27.5兆ドン、約1,646億円)は日本の国際協力銀行や民間金融機関からの融資調達を協議中である。2026年12月の着工、2030年の基本完成を目指す。

3. 周辺TOD都市開発(コンポーネント2)の構想

ターミナルに隣接する約158.8haの土地を「複合鉄道ハブ・TOD型都市センター」として一体開発する。

土地利用と都市機能: 計画人口は約5万人。TOD開発区(66.3ha)、緑地・公園(34.9ha)、遊水池(23.1ha)、道路・インフラ(34.5ha)で構成される。南東部には商業施設、A級オフィス、イノベーションセンター、教育施設を配置し、西部には高密度の複合住宅区を整備する。
事業期間: 全体完成は2033年を予定しており、事業運営期間は50年間とする。

4. 今後のプロセスと法的位置付け

本提言書は政府に対する関心表明および調査実施の提案であり、現時点で直接的な法的・財務的義務を伴うものではない。今後はハノイ市および関係省庁との本格的な協議を進め、実現可能性調査の作成および内部承認手続きを経て正式な投資決定を行う方針である。

ベトナム財務省、証券市場の発展に向け日本で実務協議:改正証券法案への反映を目指す

2026年7月14日

2026年7月14日、ベトナム財務省のグエン・ドゥック・チー次官率いる代表団は東京で日本の金融庁および証券取引等監視委員会と会談した。本会合は、ベトナム「改正証券法案」の起草に向け、日本の証券市場管理や新商品開発の知見を吸収することを目的に行われた。


1. ベトナム証券市場の現状と市場昇格目標
市場の成長: ベトナムの株式時価総額はGDP比80%を超え、重要な中長期の資金調達チャネルとして定着している。
新興市場への昇格: 現在、FTSE(英国の株価指数・市場分類会社)によるフロンティア市場から「新興国市場(エマージング・マーケット)」への格上審査を進めており、外資誘致に向けた法整備を急いでいる。

2. 日本の「サンドボックス制度(新たな金融商品・サービスを試験的に実証できる制度)」と人材育成の知見                                               
ベトナム側は、新商品・サービスの導入を視野に、日本の先進的な監督・試験制度に関心を示した。
金融庁の対応と提言: 金融庁の岡田大・政策立案担当副長官は、投資家保護と金融システムの安定・安全確保を最優先としつつ、金融イノベーションを促進する日本のサンドボックス制度について説明した。
伴走型の支援体制: 日本のサンドボックス制度下では、実験プロジェクトであっても現行法の枠組みを遵守する必要があり、規制当局は事業のアイデア構築段階からガイダンスや支援を提供し、企業に伴走する役割を果たす。
高度人材の育成: 専門知識と高い倫理観を備え、投資家の信頼を獲得できる人材を育成するためには、規制当局、金融機関、および民間セクターが長期にわたり緊密に連携する必要があることが共有された。         

3. 高度技術に関わる協議
会合の後半および同日の別日程では、最新技術の規制や市場インフラに焦点を当てた具体的な議論が行われた。
高度技術・アセットへのアプローチ: 双方の専門家は、サンドボックスの法的根拠や成功モデルの法制化プロセスに加え、AIやデジタル資産を活用した金融サービスへの規制、アルゴリズム取引の監視メカニズムについて意見を交わした。
関連機関との連携: ベトナム代表団は同日、日本取引所グループを訪れ、アルゴリズムやAIなどの新技術を用いた取引監視規則や電子取引インフラの構築について協議した。また、日本証券業協会とも会合を持ち、証券専門職の能力向上、証券会社によるサービスの多様化、および顧客向け新技術の応用に関する管理政策について議論を重ねた。

ベトナムの統合国家目標プログラム、実施フェーズの課題に直面:地方政府が体制刷新を要望

2026年7月9日

2026年7月6日、ホー・クオック・ズン副首相の議長のもと、2026〜2030年期の「新農村開発」「持続可能な貧困削減」「少数民族・山岳地帯の経済社会開発」を統合した国家目標プログラム(NTP)の推進会議が開催された。参画した3省(ディエンビエン省、クアンガイ省、アンザン省)の代表は、現在の最大の課題は「政策設計」ではなく「具体的な実施メカニズム」にあると指摘し、実行力に焦点を当てた第2の改革を求めた。

1. 制度設計の統合と管理モデルの転換

新たな統合プログラムは、過去に分断されていた3つの国家プログラムを一本化し、開発ガバナンスのあり方を刷新した。

● 資源の最適化:重複する政策や行政の断片化を解消し、資金を困窮地域や国境・離島へ集中させる。
● 地方への権限委譲:中央政府は目標設定と監督に専念し、地方政府が統一計画のもとでプロジェクト選定や資金配分を自ら決定・実行し、責任を負う体制へシフトした。
● 迅速な初期動作:詳細な指針の策定を待たず、すでに34省・中央直轄市のうち23省が指導委員会を設置し、実施計画の準備を進めている。

2. 資金配分と地域間共通のボトルネック

地理的条件や開発水準が異なる各省だが、資金面での共通した課題が浮き彫りとなっている。

● 財政配分の遅れ:中央政府は中期公共投資計画においてNTP向けに79兆ドン(約30億米ドル)、うち統合プログラム向けに70兆ドン(約26.8億米ドル)を割り当てている。しかし、教育・医療・文化などの個別分野の計画確定が遅れており、地方側での予算統合の足枷となっている。
● 地方対応資金(対当資金)の負担:クアンガイ省などの地方政府に対し、15〜20%のマッチングファンディング(自己負担分)を求める規定は、財政の逼迫した自治体にとって大きな圧力となっている。
● 巨額の資金ギャップ:ディエンビエン省では、目標達成に28兆ドン(約10.7億米ドル)以上が必要と試算される中、中央政府からの想定配分額は約2兆3,940億ドン(約9,100万米ドル)に留まり、多次元貧困率の毎年3〜3.5%削減などの目標達成に大きな懸念が示された。

3. 実施体制の改革に向けた提言

地方リーダーらは、プログラムの成功には単なる投資額の拡大だけでなく、制度の質と実務的な執行能力の向上が不可欠であると強調した。

● 書類行政からデジタルへの移行:アンザン省は、中央と地方をリアルタイムで結ぶ統一デジタルプラットフォームの構築を提案。対象者情報、資金配分、資金執行状況、成果をデータ管理することで、煩雑な書類手続きを削減し、透明性と監視効率を向上させる。
● 真の自律性の確保:制度が有効に機能し、地方政府に実質的な自律性が与えられ、住民が真の参加者・受益者となったときにはじめて、持続可能な貧困削減と地方開発が達成されると結論付けた。

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