ファム・ミン・チン首相は11日、世界のシルバー経済(高齢者向け経済)の発展とベトナムの適応戦略に関する会議を主宰した。首相は、人口高齢化を「社会保障の負担」ではなく「国家発展の新たな機会」と捉え、包括的なエコシステムを構築する決意を強調した。
1. 世界的潮流と認識の転換
国連の予測によれば、2025年までに世界の高齢人口は12億人に達する。先進国では高齢層が個人消費の5割以上を占めるなど、シルバー経済は外部要因に左右されにくい持続可能な成長エンジンとして浮上している。首相は、ベトナムも従来の「保護・支援」という考え方から、高齢者の知恵と経験を「社会資源」として活用する「発展・創出」の考え方へ抜本的に転換すべきであると指摘した。
2. 現状と課題:制度整備の加速
ベトナムは定年年齢の調整や「世代間自助クラブ」の拡大など一定の成果を上げている。しかし、制度的枠組みの不足や、脆弱な長期ケア体制が家族や国家予算に重い負担を強いている現状がある。首相は、国民が「豊かになる前に老いる」リスクを直視し、高齢化を成長の空間へと変えるための制度改善が急務であると述べた。
3. シルバー経済を支える「三本柱」と「5つの重点行動」
首相は、今後の発展に向けた戦略的枠組みを提示した。
三本柱:
・高齢者: 経験豊富な「供給力」と、高い購買力を持つ「需要の牽引役」としての主体。
・企業: イノベーションとサービス(健康観光、介護技術等)の実践の中心。
・国家: 制度設計と法的インセンティブを整備するアーキテクト。
5つの重点行動: 意識改革、高齢者向け複合施設(ハッピービレッジ等)の構築、民間サービスの振興、高齢者の社会的役割(教育・助言)の促進、高齢者協会の強化。
4. 省庁への具体的指示と期限
戦略を実効化するため、首相は各省庁に対し以下の任務を課した。
保健省: 戦略的ビジョンに基づく「高齢者法(改正案)」の策定および複合医療施設の試行。
財務省: 2026年第2四半期までに「2045年までのシルバー経済戦略」を提出。
外務省: 2027年APECにおける「シルバー経済」関連会議の主催。
公安省・内務省: 高齢者データベースの構築と、再雇用・生活支援メカニズムの検討。
5. 新時代に向けた展望
首相は、高齢化は発展の避けられない趨勢であり、積極的な適応が必要であると断言した。また、高齢者が新時代の国造りを先導する存在であることを期待し、「高齢者が模範を示し、健やかな老後を送り、国家発展の礎となる」という趣旨の24語のモットーを掲げ、全政治システムと社会の総力を挙げた取り組みを呼びかけた。
