ベトナムへの外国投資資金、引き続き流入の見通し

2026年4月3日

UOB(ユナイテッド・オーバーシーズ銀行:シンガポールに本拠を置き、東南アジア全域で広範なネットワークを持つ大手金融グループ)の市場調査・グローバル経済部門責任者であるスアン・テック・キン氏は、2026年後半にかけて米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げにより米ドル高が落ち着き、ベトナムへの外国投資流入に好影響を与えると予測している。

【為替とマクロ経済の展望】
金利動向: FRBは2026年6月と第3四半期にそれぞれ0.25%の利下げを行い、政策金利を3.25%まで引き下げる見通しである。
・為替相場: 中東情勢による一時的な変動はあるものの、ドン(VND)相場の中長期的展望は安定している。UOBは2026年のベトナムのGDP成長率を7.5%と予測しており、強固なマクロ経済基盤が通貨を支えている。
・金融政策: ベトナム国家銀行(中央銀行)は、2026年を通じて政策金利を4.5%に据え置くと予想される。


【FII(外国間接投資)と市場の格上げ】
ベトナムの証券市場は、2026年9月にMSCIやFTSEラッセル(いずれも世界的な株価指数を提供する指数会社で、各国市場の分類は機関投資家の投資判断に大きな影響を与える)によって「エマージング・マーケット(新興市場)」に格上げされる期待が高まっている。                   ※格付けは、「先進国市場」「新興市場」「フロンティア市場」の3層に分類
長期資金の流入: 格上げが実現すれば、これまでの短期的な投機資金から、より大規模で長期的な投資資金へと質的な変化を遂げる。
・国際金融センター(VIFC): ベトナム国際金融センターの設立により、ドバイのような国際基準の投資環境を整備し、新たな成長エンジンとしての役割が期待されている。

【FDI(外国直接投資)の戦略的優位性】
ベトナムはサプライチェーンの脱中国(チャイナ・プラス・ワン)の流れを受けて、引き続き製造業を中心にFDIを引きつけている。
投資サイクル: 2025年〜2026年の実行資本の伸びは、過去5年間にわたる投資家の戦略的判断の結果である。
重点分野: 従来の製造・加工業に加え、小売、観光、サービス業への関心が高まっている。
構造転換: 単純な組み立て・加工から、半導体、フィンテック、高付加価値なハイテク産業への転換が加速している。

原油価格高騰によるインフレ圧力:3つの対応シナリオ

2026年3月10日

中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の激しい変動が、生産コストの増大、インフレ圧力、 金融市場の心理に大きなリスクをもたらしている。

エネルギー市場に留まらない波及効果
グエン・チャイ大学金融・銀行学部の学部長であるグエン・クアン・フイ(Nguyễn Quang Huy)氏は、「中東の地政学的緊張が世界のエネルギー市場を過敏にさせており、供給寸断の懸念と価格変動の長期化を招いている」と述べた。
燃料価格の上昇はエネルギー市場のみならず、以下の多層的な影響を及ぼす。
物流・製造コストへの転嫁: 輸送やロジスティクス、加工業、農業などのコストを直接押し上げる。
・マクロ経済への影響: 消費者物価指数(CPI)において輸送費の占める割合が大きいため、直接的・間接的なインフレ圧力を生む。
金融市場の動向: 短期的には投資家の金利予測や経済展望に影響し、VN指数(VN-Index)などの株式市場が敏感に反応する。一方で、石油・ガス関連企業には増益要因となる側面もある。

構築すべき3つの応急シナリオ
不測の事態を回避し、主体的に対応するため、フイ氏は以下の3つのシナリオを想定すべきであると提言した。
第1シナリオ: 地政学的緊張の激化で供給が遮断され、価格が大幅かつ長期的に高騰する。生産・輸送コストに甚大な圧力を与えるケース。
第2シナリオ: 価格は上昇するが、供給寸断が深刻化せず、経済がコスト調整を通じて適応可能な範囲に留まるケース。
第3シナリオ: 心理的要因により短期的には上昇するが、需給バランスの均衡により速やかに安定化するケース。

経済の自己回復力向上と企業の自己防衛

エネルギー市場の不透明に対し、フイ氏は「経済の自己回復力を高めることが急務である」と強調した。具体的には、輸入先の多角化、国内での石油精製能力の強化、そして風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの投資加速(グリーン転換)が必要であるとした。

また、企業側に対しても、「技術革新によるエネルギー効率の向上、物流網の再構築、および柔軟な財務リスク管理を通じて、価格変動に強い経営体質を築くべきである」と述べた。

ベトナム財務省:燃料供給安定に向けた輸入税ゼロ案の政令草案を提示

2026年3月9日

財務省は、燃料供給の多様化と国内市場の安定化を目的として、輸入税率を調整する新たな政令草案を提出した。その要旨は以下の通りである。

政令案の背景と緊急性:中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡の封鎖リスクにより、エネルギー価格の乱高下と供給網寸断の懸念が高まっている。これを受け、財務省は簡素化された法的手続きに基づき、燃料および関連原材料の最恵国待遇(MFN)輸入税率を0%に引き下げる政令の制定を提言した。

供給源の多様化と安全保障: 現在、ベトナムの燃料輸入は主にFTA締結国(ASEANや韓国)に依存している。本政令により非FTA諸国からの輸入障壁を取り払うことで、地域的な供給不足が発生した際でも代替調達を容易にし、国家エネルギー安全保障を強化する狙いがある。

具体的な減税対象と経済的影響
・10%→0%: 無鉛ガソリン、燃料調合用成分(ナフサ、リフォーメート等)。
・7%→0%: ディーゼル、重油、航空燃料、灯油。
3%・2%→0%: キシレン、コンデンセート等の製造用原材料。

本措置により約1兆240億ドンの減収が見込まれるが、マクロ経済の安定と二桁成長の達成を優先する。

適用期間:本政令は署名日から施行され、2026年4月30日まで有効とする。状況に応じた延長の可能性も残されている。

ベトナムの2025年12月の輸出入額は過去最高の約887億ドルに達し、前年同月比で25.7%増加しました。

2026年1月5日

・年間実績:2025年の輸出入総額は9300億ドルを超え、前年比18.2%増。
・輸出:4750億ドル(前年比17%増)。主力は電子機器(約1080億ドル)、機械類、携帯電話、繊維製品など。
・輸入:4550億ドル(前年比19.4%増)。主力は電子部品(約1510億ドル)、機械類、鉄鋼、プラスチック製品、自動車など。
・貿易収支:2025年は200億ドルの黒字。ただし国内企業は赤字、外資系企業が黒字を牽引。
・主要市場:米国向け輸出が最大(1532億ドル)、次いで中国(704億ドル)、EU(562億ドル)。中国からの輸入は1860億ドルで最大。