中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の激しい変動が、生産コストの増大、インフレ圧力、 金融市場の心理に大きなリスクをもたらしている。
エネルギー市場に留まらない波及効果
グエン・チャイ大学金融・銀行学部の学部長であるグエン・クアン・フイ(Nguyễn Quang Huy)氏は、「中東の地政学的緊張が世界のエネルギー市場を過敏にさせており、供給寸断の懸念と価格変動の長期化を招いている」と述べた。
燃料価格の上昇はエネルギー市場のみならず、以下の多層的な影響を及ぼす。
・物流・製造コストへの転嫁: 輸送やロジスティクス、加工業、農業などのコストを直接押し上げる。
・マクロ経済への影響: 消費者物価指数(CPI)において輸送費の占める割合が大きいため、直接的・間接的なインフレ圧力を生む。
・金融市場の動向: 短期的には投資家の金利予測や経済展望に影響し、VN指数(VN-Index)などの株式市場が敏感に反応する。一方で、石油・ガス関連企業には増益要因となる側面もある。
構築すべき3つの応急シナリオ
不測の事態を回避し、主体的に対応するため、フイ氏は以下の3つのシナリオを想定すべきであると提言した。
第1シナリオ: 地政学的緊張の激化で供給が遮断され、価格が大幅かつ長期的に高騰する。生産・輸送コストに甚大な圧力を与えるケース。
第2シナリオ: 価格は上昇するが、供給寸断が深刻化せず、経済がコスト調整を通じて適応可能な範囲に留まるケース。
第3シナリオ: 心理的要因により短期的には上昇するが、需給バランスの均衡により速やかに安定化するケース。
経済の自己回復力向上と企業の自己防衛
エネルギー市場の不透明に対し、フイ氏は「経済の自己回復力を高めることが急務である」と強調した。具体的には、輸入先の多角化、国内での石油精製能力の強化、そして風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの投資加速(グリーン転換)が必要であるとした。
また、企業側に対しても、「技術革新によるエネルギー効率の向上、物流網の再構築、および柔軟な財務リスク管理を通じて、価格変動に強い経営体質を築くべきである」と述べた。
