2026年4月15日
4月14日、トー・ラム総書記兼国家主席夫妻は、ベトナムの高官代表団とともに北京に到着し、中国の習近平総書記兼国家主席夫妻の招待を受け、4月14日から17日までの公式訪問を開始した。
本訪問には政治局員10名を含む過去最大規模のハイレベル代表団が同行しており、ベトナム政府が中国との関係を「一貫した政策」「戦略的選択」「最優先事項」と位置づけていることを改めて示すものとなった。北京人民大学の王文教授は、両国関係が現代史上、最も良好な段階にあると評価している。
【最高指導者間の戦略的指導と政治的信頼】
今回の訪問は、習近平総書記兼国家主席のベトナム訪問(2025年4月)からわずか1年後に行われた。2年足らずの間に両首脳が3度の相互訪問を行うことは異例であり、首脳間の個人的な信頼関係が二国間関係を牽引する最大の強みとなっている。トー・ラム氏は、中国との安定した長期的な協力関係を築くことが、新時代における平和な発展環境の維持に不可欠であると強調した。
【ハイテク・デジタル・グリーンの分野における新展開】
トー・ラム氏は清華大学での演説において、従来の貿易やインフラ整備に留まらず、知識、技術、イノベーションの分野での協力強化を打ち出した。特に以下の戦略的技術分野を最優先事項としている。
・次世代技術: 人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、半導体、ロボット工学。
・グリーン転換: クリーンエネルギー、電気自動車用バッテリー、太陽光発電。 これらはベトナムが掲げる2030年および2045年の国家発展目標を達成するための主要な推進力となる。
【インフラ接続と実質的な協力の推進】
経済・物流の効率化に向けた「ハード」と「ソフト」両面での接続加速が合意された。
・ハードインフラ: 中国とベトナムを結ぶ3つの標準軌鉄道計画を推進。特にラオカイーハノイーハイフォン路線の第1期工事を2025年12月下旬に開始予定である。あわせて、スマート国境通過モデルの導入により通関効率を向上させる。
・ソフトインフラ: 国境を越えた電子決済プラットフォームの整備を促進し、貿易と観光の利便性を高める。
本訪問は、単なる伝統的友好の促進ではなく、二国間関係を「質の高い、持続可能で自立的な成長」の軌道に乗せるための重要な一歩となった。ベトナムの第14回党大会に向けた戦略と、中国の第15次五カ年計画が交差する中で、両国は「戦略的な連結性」を通じて共通の発展の土台を固めていく方針である。
2026年4月7日
2026年4月7日午後、国会においてレ・ミン・フン(Le Minh Hung)氏が新首相に就任し、宣誓を行った。フン新首相は就任演説の中で、制度の構築と整合的かつ包括的な完備を新政府の最優先事項とし、国家開発のためのあらゆる資源を解放することを表明した。 ※「制度の完備」は、法制度・行政手続き・政策運用の一体的整備を指す表現
【5つの重点的な施策方針】
新首相は、2026-2031年任期における政府の運営について、以下の5つの柱を提示した。
①「現代的・奉仕型」政府への変革と制度の抜本的改革
制度構築を「最優先の任務」と位置づけ、行政手続きを徹底的に簡素化する。社会的なあらゆる資源を解き放つため、法規制の「ボトルネック」を即座に解消することを約束した。また、政府組織を「精鋭・簡素・強力」なものに再編し、各閣僚には「現代的な管理思考」による柔軟な運営を求めた。
②歴史的な経済成長目標(GDP 10%以上)
2026年から2031年までの期間において、平均GDP成長率10%以上の維持を「発展への命令」として掲げた。これを達成するため、科学技術、イノベーション、DX(デジタルトランスフォーメーション)を主要な動力源とし、戦略的な自主性を高める。
・インフラと環境: グリーン転換と気候変動への適応を推進し、国家経済が主導権を握りつつ、民間経済を最も重要な原動力として位置づける。
③ 徹底した分権化と公務員の質的向上
2025年7月からの地方自治体新体制(2段階制)の運用を加速させる。2026年を「地方公務員の質的向上の年」とし、行政の役割を「管理」から「奉仕・創造」へ転換する。「地方ができることは地方に任せる」という原則の下、分権を推進し、草の根レベル(社・坊)での自律性を促す。 ※「社・坊」はそれぞれ農村部・都市部の基礎自治単位を指す
④社会基盤と人間への投資
「人間への投資こそが最も持続可能な投資」とし、教育の抜本的改革、ハイテク人材の育成、天才の重用を強調した。公衆衛生システムの強化に加え、「誰一人取り残さない」社会保障政策や、ベトナム文化のアイデンティティ確立も重要課題とした。 ※「天才の重用」は高度人材・トップ人材の積極登用政策を指す表現
⑤清廉な政治と責任の明確化: 汚職防止と浪費の撲滅を継続し、行政の規律を厳格化する。特に「責任逃れ」や「無関心」な姿勢を厳罰に処す一方で、「公共の利益のために敢えて行動し、責任を負う公務員」を保護するメカニズムを実質的に運用し、公務員の士気を高める。
フン首相は、ホー・チ・ミン主席の「政府は国民のためにあり、国民の利益に奉仕することのみを目的とする」という教えを強調、ベトナムを飛躍的な発展と繁栄の段階へと導く決意を表明した。
2026年3月24日
モスクワを訪問中のベトナムのファム・ミン・チン首相は3月23日、ロシアのミハイル・ミシュスティン首相と会談した。
両首相は、エネルギー・石油・ガス分野が両国間の伝統的かつ象徴的な協力分野であることを強調。この戦略的協力をさらに格上げし、基幹プロジェクトの効率的な実施や、第三国を含めた三者間協力の拡大を図る決意を表明した。
また、両首相はグリーン転換と持続可能な発展に寄与するため、新エネルギー、クリーンエネルギー、再生可能エネルギー分野における協力拡大に向けた検討を早期に進めることで一致した。
今回の訪問に合わせ、両国の企業間でエネルギー・石油・ガス、輸送などの多岐にわたる協力協定が締結されたことを高く評価。これらは、現在の国際情勢下におけるエネルギー安全保障の確保に寄与するものであるとした。
科学技術分野における協力が真に新たな協力の柱となるべきであることで合意し、2026年科学教育交流年の枠内での交流活動の促進、既存の協力プラットフォームの活用、特に情報技術、人工知能などの分野における潜在的なプロジェクトのさらなる拡大、そしてベトナム・ロシア熱帯センターの枠組み内での科学研究、応用、技術移転における協力の拡大について合意した。 ※ベトナム・ロシア熱帯センター:ベトナムとロシアが共同で設立した政府間の科学研究機関。正式には「Vietnam–Russia Tropical Centre」。単なる学術機関ではなく、安全保障・環境・医療が交差する戦略的な研究機関となっている。
ベトナム・ロシア双方は、人道協力、人的交流、教育訓練協力、文化、スポーツ、観光における協定のより積極的な履行の必要性を強調した。
会談後、両首相立ち会いのもと、「ベトナム社会主義共和国政府とロシア連邦政府による、ベトナム領内における原子力発電所建設協力に関する協定」の調印式が行われた。
2026年3月20日
中東地域での紛争長期化により、世界経済およびベトナム経済への不透明感が増している。主なリスクとして、原油価格の高騰によるインフレ圧力、為替(VND/USD)への負荷、そして物流(ロジスティクス)や観光への悪影響が懸念されている。
BIDV研究機関のCan Van Luc博士らは、投資家や消費者の心理的慎重さが投資の遅延や受注減を招き、GDP成長を押し下げる可能性があると指摘する。中東情勢がさらに悪化する「ネガティブ・シナリオ」では、輸出成長率が最大2ポイント減少すると予測されている。 (※BIDVベトナム投資開発商業銀行)
【成長の原動力】
こうした逆風の中でも、ベトナム経済を支える主要な柱は以下の3点である:
・製造・加工業の躍進: 2026最初の2ヶ月の工業生産指数(IIP)は前年同期比10.4%増と好調を維持。特に製造・加工業が牽引役となっている。 (※IIP=Industrial Production Index:工業生産の動向を示す指標)
・外資(FDI)と国内投資: FDI実行額は前年同期比8.8%増(32.1億ドル)を記録。新設・再開企業数も大幅に増加しており、民間・公共投資の両面で生産能力の拡充が進んでいる。 (※FDI=Foreign Direct Investment:海外からの直接投資)
・政府の機動的な施策: 首相による輸出促進の公電や、ガソリン価格の管理、サプライチェーン断絶の防止など、インフレ抑制と成長維持の両立を図る対策が急ピッチで進められている。 (※「公電」は政府が各機関に出す公式指示文書)
【地方自治体の動き】
ホーチミン市をはじめとする各自治体では、独自の成長シナリオを策定している。
・ホーチミン市: 公共投資の早期実行や内需拡大により、域内総生産(GRDP)成長率10%以上の達成を目指す。
・クアンニン省・ゲアン省: 公共投資を「成長の呼び水」と位置づけ、デジタル経済や再生可能エネルギーなどの新成長エンジンを模索している。
結論として、 外部環境の不確実性は高いものの、製造業の強みと積極的な投資誘致、そして政府の柔軟な政策運営により、2026年の高い成長目標達成に向けた取り組みが続いている。
2026年1月5日
(Nguyễn Tiến Lập 氏 :NHQuang & Cộng sự法律事務所のメンバーであり、また ベトナム国際仲裁センター(VIAC)の仲裁人による)
ベトナムでは、計画経済から市場経済への移行が進む中で、国家の役割を「管理」から「ガバナンス」へと転換する必要性が強調されています。しかし、この転換は理論的には必然であるものの、現実には多くの障害が存在しています。
背景:かつて国家は土地や生産手段を独占的に所有し、社会全体を直接管理してきました。そのため「国家管理」という概念が根強く残っています。
現状:市場経済の発展により、民間企業や市民社会が重要な主体となり、国家は法制度を通じて間接的に関与するべき段階にあります。
課題:
・政策立案者の「管理」思考が依然として強く、行政的介入が多い。
・土地制度において国家が依然として絶対的権限を保持し、利用目的・価格・期限・収用を厳しく制御している。
・国家と社会の関係が「上から下へ」「許可と依存」に偏り、対等なパートナーシップが未成熟。
必要な改革:財産権の確立、透明性と説明責任の強化、そして憲法裁判所の設置など、法の支配を保障する制度改革が不可欠。