2026年3月17日
現在、ベトナムにおける暗号資産取引所の設立には、最低10兆ベトナムドンという極めて高い資本金要件が課されており、各社には大手金融エコシステムからの大規模な資金調達が求められている。
決議05/2025/NQ-CPに基づく資本金10兆ドンの基準を突破し、現在トップを走るのは以下の2社である。
・Vimexchange: 2025年6月の設立時から資本金10兆ドンを確保。製薬大手Vimedimexグループが50%を出資し、他複数の関連企業が名を連ねる。
・CAEX(VPBankエコシステム): 2026年2月末、資本金を250億ドンから10兆ドンへ大幅増資。LynkiD(50%)とVPBank証券(11%)が主導している。
これに続く「1兆ドン規模」のグループには、大手証券系や多角化企業が集結している。
・VIXEX(VIX証券系)およびSSI Digital(SSI証券系)は、機関投資家からの増資を経て資本金1兆ドンを維持している。
・ベトナム・デジタル資産(Sun Group系): 2026年1月に資本金1兆ドンで参入。大手不動産デベロッパーSun Groupが64%、石油証券(PSI)が1%を保有。現在は技術インフラの整備と海外提携に注力している。
中堅・新興グループでは、増資による加速を図る企業が目立つ。
・LPEX(Loc Phatベトナム暗号資産): 2026年2月中旬に3,600億ドンへ増資。
・HDEX(Sovicoグループ系): 資本金3,000億ドン。HD証券やGalaxyグループが参画。
・TCEX(Techcombank系): 資本金1,010億ドン。Dolphinexは50億ドンを維持。
・DNEX(DNEXデジタル資産取引所株式会社): 現在は20億ドンと最小だが、10兆ドン到達を目指し戦略的投資家からの資金調達を計画中である。
一方で、Vietcap証券はレースからの撤退を表明した。10兆ドンの資本維持に加え、セキュリティやマネーロンダリング防止(AML)対応に伴う膨大なコストが、現時点での経営リソース配分の優先順位に見合わないと判断したためである。
このような勢力図の分極化は、暗号資産取引所の設立が単なる技術の戦いではなく、長期的な資金動員力とエコシステム全体の調整力が試される過酷な試練であることを浮き彫りにしている。
2026年3月2日
ベトナムが2026年から2030年にかけて掲げる「高く、持続可能な成長」という目標と、それを実現するために必要な制度改革の主なポイントは、以下の通りである。
・成長モデルの転換
従来の「資本・安価な労働力・資源依存型」の成長モデルから脱却し、科学技術・イノベーション・デジタル化を基盤とする新たな成長モデルへ移行する必要がある。
・制度改革の重要性
法律や規制の改正が頻繁で、かつ重複や不整合が多い現状は、企業が長期的な戦略を策定するうえで大きな障害となっている。これを改善するため、一貫性のある法制度の構築と、より高い透明性の確保が求められる。
・科学技術投資の拡大
2030年までに社会資源の60%以上を科学技術分野に投入することを目標としている。その実現には、企業の研究開発(R&D)投資を促進するための具体的かつ実効性のある政策が不可欠である。
・土地管理と都市計画
土地利用における透明性と公平性を確保し、利益相反や不平等を防止することが重要である。これにより、社会的安定の維持と投資環境の改善が期待される。
・金融市場の安定化
突発的な政策変更を回避し、企業が安心して資金調達を行える安定的な金融環境を整備する必要がある。特に、企業債券市場の健全な発展は、銀行依存型の資金調達構造を是正するうえで重要な鍵となる。
・中小企業支援の強化
経済の大部分を占める中小企業が、資金や技術へより円滑にアクセスできるよう、支援策を一層強化する必要がある。
単なる数値目標としての成長を追求するのではなく、制度改革の深化、科学技術の推進、資源配分の公平性の確保、そして金融市場の整備を通じて、ベトナムが持続可能な発展を実現し、国際的地位のさらなる向上を目指す姿勢が強く打ち出されている。
2026年1月5日
(Nguyễn Tiến Lập 氏 :NHQuang & Cộng sự法律事務所のメンバーであり、また ベトナム国際仲裁センター(VIAC)の仲裁人による)
ベトナムでは、計画経済から市場経済への移行が進む中で、国家の役割を「管理」から「ガバナンス」へと転換する必要性が強調されています。しかし、この転換は理論的には必然であるものの、現実には多くの障害が存在しています。
背景:かつて国家は土地や生産手段を独占的に所有し、社会全体を直接管理してきました。そのため「国家管理」という概念が根強く残っています。
現状:市場経済の発展により、民間企業や市民社会が重要な主体となり、国家は法制度を通じて間接的に関与するべき段階にあります。
課題:
・政策立案者の「管理」思考が依然として強く、行政的介入が多い。
・土地制度において国家が依然として絶対的権限を保持し、利用目的・価格・期限・収用を厳しく制御している。
・国家と社会の関係が「上から下へ」「許可と依存」に偏り、対等なパートナーシップが未成熟。
必要な改革:財産権の確立、透明性と説明責任の強化、そして憲法裁判所の設置など、法の支配を保障する制度改革が不可欠。