国連貿易開発会議(UNCTAD)の2026年調査によると、投資促進機関の76%が緊張や紛争を海外直接投資(FDI)への最大の影響要因と見なしている。2026年の中東紛争は輸送・保険コストを押し上げ、インフレを再燃させるとともに、多くのプロジェクトの延期や中止を招いた。同時に、経済安全保障と結びついたかつてない規模の産業政策が回帰している。
※FDI:Foreign Direct Investment
世界のFDIはAI、データセンター、半導体、クリーンエネルギーなど先進国の戦略的分野に集中する一方、発展途上アジアにおける伝統的な製造業へのグリーンフィールド投資は縮小している。東南アジアにおいてシンガポールに次ぎインドネシアと並ぶ第3位のFDI規模を持つベトナムでは、2026年1~8月の認可額は前年同期比55.4%増の406億米ドル、実行額は同12%増の172億5,000万米ドルとなった。ベトナムは半導体のパッケージング、テスト、設計の分野で参入の足掛かりを得ており、アムコーの45億米ドルのプロジェクトは、2025年のアジアにおける大型案件10件の1つに位置づけられている。
しかし、「チャイナ・プラスワン」の優位性は自動的にベトナムにもたらされるものではない。単なる「積み替え拠点」となることを防ぎ、FDI戦略目標を達成するため、ベトナムは8項目の対応に注力する必要があり、主なものは以下のとおりである。
第一に、「大量誘致」から「正確な位置づけ」へ転換し、勝算のある特定セグメントを選択する。第二に、グローバル・ミニマム課税に適合した、結果に基づく優遇措置を適用する。第三に、補助金ではなく、安定したクリーン電力や半導体・AI技術者の育成といった基盤能力で競争する。第四に、FDIを国内企業の発展の原動力へと転換することである。
