ベトナム国会常務委員会は9月23日、データ安全保障法案について審議した。データがデジタル経済・デジタル政府の基盤となる一方、サイバー攻撃やデータの窃取・漏えいなどのリスクが高まっており、政府は統一的な法的枠組みの整備が必要としている。
法案では、データの安全保障リスクを段階的に分類し、リスクに応じて管理する仕組みを導入する。国会側は、既存のサイバーセキュリティ法における情報システムの5段階の安全レベル、データ法の5段階の分類との整合性を確保するよう求めた。
越境データ移転については、国防・安全保障や国家主権に直接関係するデータの国外移転を厳格に管理する方針である。法案ではレベル4のデータは一部で原則として国外移転を禁止し、レベル3のデータは移転を制限するとしているが、データの重要度だけでなく、移転行為そのもののリスクも評価して管理することが提案された。
暗号技術については、公安省が研究・開発する「セキュリティ暗号」を既存の国家機密保護用暗号に代わるものではなく、特定の状況で補完する予備的な暗号技術として位置付ける案が示された。また、量子コンピューターによる暗号解読リスクを踏まえ、2035年までの耐量子暗号への移行計画も盛り込まれている。
法案は、データの収集、処理、保存、利用、共有、廃棄までのライフサイクル全体を対象とし、AIアルゴリズムのガバナンスも規定する方向である。一方、企業の営業秘密や商業データを保護しながら、国家による監視・緊急措置に対する権力統制を確保する必要性も指摘された。
国会常務委員会は、データ安全保障法、サイバーセキュリティ法、データ法、個人データ保護法の適用範囲と優先順位を明確化し、規制の重複を避けるよう求めた。また、企業のコンプライアンスコストを抑えるため、同等の国際的なセキュリティ認証を認める仕組みの検討も求めている。法案は修正後、国会第2会期での審議・採択に向けて提出される予定である。
