ハノイ市は2026年9月、レアアース酸化物を半工業規模で生産する実証事業を承認した。規制サンドボックス(管理された環境で新技術を試験する制度)を活用し、研究成果の実用性と安全性を検証する。将来は半導体など高度技術産業向け材料の国内供給につなげる方針である。
1.純度95%超の酸化物を試験生産
実施主体は、ベトナムの鉱山建設・技術コンサルティング会社である。ハノイ市ホアラック・ハイテクパーク内の1,000平方メートルの施設で、TREO(総レアアース酸化物)純度95%超の製造技術を試験する。
試験期間は18カ月で、工場改修、試運転、稼働率30%から100%への段階的引き上げ、設備撤去、原状回復の5段階で実施する。設備の約80%は実施企業が自社で対応するとしている。
2.原料と製品利用を厳格に制限
使用できる原鉱石は、ライチャウ省ドンパオ鉱山から合法的に調達する最大100トンである。処理能力は1時間当たり100キログラム、運営人員は化学物質・放射線安全などの研修を受けた35人である。
試験で得た製品は分析、検査、技術改良にのみ使用でき、販売、流通、譲渡は禁止される。現地での採掘や恒久的な工業施設の建設も認められない。
3.排水・排ガス処理を検証
企業側によると、初期設備費の約50%を排ガス処理と閉鎖循環型の排水処理システムに充てる。湿式製錬工程では水の80%超を再利用し、重晶石、蛍石、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムなどの副産物も回収する計画である。
実証では、製品純度だけでなく、回収率、設備の安定性、化学物質・放射線安全、廃棄物、環境基準への適合性を確認する。
4.実証データを制度整備に活用
設備設置と原料搬入後、最初の精製品は6~7カ月後に生産する見通しである。その後、研究チームは軽レアアースの分離技術を改良する計画である。
レアアースは電子、エネルギー、防衛、スマート機器などに使われる。今回の実証結果は、商業化の可否を直ちに決めるものではないが、深加工技術の評価と、関連する政策、技術基準、安全・環境管理手順の整備に用いられる。
