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2026.9.1

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ベトナム、半導体産業は「中所得国の罠」を打破する鍵となるか

ベトナムは2026年7月より世界銀行の「高中所得国」に分類され、経済発展の重要な節目を迎えた。しかし、2045年までの「高所得国」入り(一人当たりGNI 1万4,375ドル超/約237万円超)の実現には、今後20年間にわたり年平均約6%の成長を維持し、一人当たり所得を3倍以上に増やす必要がある。従来の低コスト労働力や資本蓄積に依存した成長モデルは限界を迎えており、半導体産業を通じた生産性と技術力の向上への転換が急務となっている。

1. FDI(外国直接投資)の限界と国内波及効果の課題
 ・輸出依存の構造: 2025年のベトナムの財輸出総額約4,750億ドル(約78.4兆円)のうち、77.3%(3,671億ドル/約60.6兆円)をFDI企業が占めた。半導体分野でも2025年11月時点で170件以上・約116億ドル(約1.91兆円)のFDIを誘致している。
 ・国内企業との連動不足: 2021年の半導体輸出額で世界10位(シェア2%)を記録した一方、製造拠点はなく、2022年には約250億ドル(約4.13兆円)の半導体貿易赤字を計上した。経済協力開発機構や世界銀行は、FDI企業と地場サプライヤーとの連携の弱さを課題として指摘している。

2. バリューチェーンにおける高度化へのロードマップ
 ・現実的な領域への注力: 巨額の資本を要するチップ製造ではなく、IC設計、高度パッケージング・テスト、研究開発、知的財産、ソフトウェアなど、持続可能な優位性を構築できる高付加価値分野への集中的な関与を目指す。
 ・人材育成とエコシステム構築: 政府は2030年までに50,000人の半導体専門人材(大学卒以上)の育成を掲げる。単なる工場の誘致にとどまらず、地場企業やスタートアップ、大学、研究機関を含めたエコシステム全体の強化が不可欠である。

FDIは最終目的地ではなく、国内の技術能力を高めるための「触媒」として活用される必要がある。組立や梱包などの低付加価値工程から脱却し、地場企業が技術・知的財産の所有者へと成長できるかが、ベトナムが中所得国の罠を乗り越えられるかを左右する。