ベトナム電力局と国際エネルギー団体は、再生可能エネルギーの導入拡大、電力網の近代化、技術力強化に向けた協力覚書を締結した。急増する電力需要に対応し、安定供給と2050年のネットゼロ達成を両立させる方針である。
1.過去最高の電力需要と送電制約
2026年6月末の猛暑時、全国の最大電力需要は5万8,000MWを超えた。冷房需要の急増で送電網への負荷が高まる一方、送電容量の不足により、日中には太陽光・風力発電の出力制御が発生し、夕方の需要ピーク時には供給力が不足するという課題がある。
2.2030年までに蓄電容量16.3GWを目指す
両者は、技術協力、調査研究、人材育成、知識共有を進める。重点分野は以下の通りである。
・蓄電池システム(BESS:Battery Energy Storage System)の導入促進
・送電網の近代化・デジタル化
・再生可能エネルギーの系統統合
・直接電力購入契約の運用基盤整備
・公正で包括的なエネルギー転換
電力開発計画に基づき、2030年までにBESSを最大16.3GWへ拡大する。日中の余剰電力を蓄え、需要ピーク時に供給することで、出力制御と系統混雑を抑える狙いである。
3.AIで電力網の運用を最適化
人工知能(AI)を用いて電力需要をリアルタイムで予測し、蓄電池の充放電や送電配分を最適化する。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、AIは再生可能エネルギーの予測誤差を最大45%削減し、系統障害の継続時間を30~50%短縮できる。今後は制度整備と技術導入を並行して進め、電力供給の安定性とエネルギー安全保障を強化する必要がある。
