企業の最新発表および財務報告データ(2026年8月時点)によると、ベトナムの主要22企業・グループによる雇用規模は推計122万人超に達した。不動産、エネルギー、IT、小売、金融、インフラなど多様なセクターが雇用市場を支えている。
1. 基幹産業と民間大手:雇用を支える2大柱
雇用規模の上位には、急成長を遂げる民間コングロマリットと、全国に広大な事業網を持つ国営インフラ・資源企業が名を連ねている。
・コングロマリット:ビングループの国内エコシステム全体(関連会社を含む)で23万人を雇用し首位。不動産や電気自動車事業に加え、インフラ、交通、エネルギー分野への拡張に伴い、グループ単体の雇用数も大幅に増加している。
・国営エネルギー・資源・製造大手: ベトナム電力公社が約9万7,000人、ベトナム石炭鉱物産業グループが約9万4,900人、ベトナムゴム総公社が約7万5,900人、ベトナム石油ガスグループが約6万人を抱える。また、労働集約型産業である繊維・衣料公社も5万3,800人超の雇用を維持している。
2. IT・通信・小売:デジタル化と消費拡大による人員増強
デジタル化と消費市場の拡大を背景に、IT・通信および小売関連企業では積極的な人員増強の傾向が見られる。
・IT・通信: FPTが小売・通信子会社を含め8万100人超を雇用。軍隊工業通信グループが約5万5,000人、ベトナム郵便通信グループが約3万5,000人規模となっている。
・小売・消費財: モバイル・ワールドが約6万7,300人(前年末比約4%増)、マサングループが約4万3,000人(同6.6%増)と、店舗網や新規事業の拡大に伴い人員増強の傾向が顕著である。
3. 金融・インフラ・FDI企業:安定雇用と大規模製造の役割
安定した雇用を維持する金融・公共インフラ分野に加え、大規模な製造拠点を持つ外資系企業もベトナムの労働市場において極めて重要な役割を果たしている。
・銀行セクター: ベトナム農業農村開発銀行(AGRIBANK、約4万1,800人)を筆頭に、ベトナム繁栄商業銀行(VPBANK)、ベトナム投資開発銀行(BIDV)、ベトナム工商銀行(VIETINBANK)、ベトナム外国貿易銀行(VIETCOMBANK)がいずれも2万人以上の雇用を維持。人員変動率は1〜3%程度と相対的に安定している。
・インフラ・運輸: ベトナム航空(約2万3,700人)、ベトナム鉄道総公社(約2万2,200人)、ベトナム郵便公社(約2万800人)が全国的なネットワークを背景に大規模雇用を支える。
・FDI(外資)企業: フアリ(Huali、約16万9,000人)、フォックスコン(Foxconn)、ポーチェン(Pou Chen)など、10万人規模の雇用を抱える外資系製造大手もベトナムの労働市場で大きな存在感を示している。
