ベトナム政府は、農業・環境分野の行政手続きおよび事業条件を削減・簡素化する「10関連法改正案」を8月初旬の国会臨時会へ提出する。38の行政手続き削減、13の手続き簡素化、40の事業条件削減を柱とし、2024年比で計904日の手続き期間短縮と約1,899億ドン(約11.45億円 )のコンプライアンスコスト削減を見込む。
1. 規制緩和と地方分権の主な内容
本草案は、植物保護・検疫法、種苗法、畜産法、獣医法、水産法、水利法、堤防法、水資源法、気象水文法(国家的な気象・水象観測と防災に関する基本法)、地質・鉱物法の10法を対象とする。
・事前審査から事後点検への移行: 農薬登録証の有効期間を5年から10年へ延長し、家畜種苗の輸入管理を事前審査から事後点検へ移行する。種苗の流通における事業者・個人の自主公表を容認し、漁船の新造・改造施設に関する規制を廃止する。
・地方への大幅な権限委譲: 希少家畜遺伝資源の国際交換承認、獣医薬(ワクチン含む)製造適合証明の発行、鉱山閉鎖計画の承認などの権限を中央省庁から省級人民委員会へ移管する。河川敷プロジェクトの治水・堤防安全承認も省級人民委員会主席へ委任される。
2. 国会・専門委員会からの指摘と実務上の課題
国会常務委員会および専門委員会は改革の方針を高く評価しつつも、以下の実務リスクに注意を促している。
・国際基準との整合性: GMP/GMP-WHO基準(医薬品の製造・品質管理に関する国際基準)を満たす獣医薬製造施設の認定権限を地方へ移管することについて、WHO等の国際機関は一元的な国家管理体制のみを承認するため、輸出の技術的障害となる懸念が指摘された。また、戦略鉱産の分権化による資源流出リスクの評価も求められている。
・地方の執行能力と負担: 事後点検への移行に伴い、地方の監察・検査体制への負担が増大する。QRコード等を活用した自動追跡システムと予算の確保が不可欠とされる。
・独自規制発生の防止: 全国統一の技術基準が未整備のまま分権が進むと、自治体ごとに基準の解釈が異なり、独自の許認可が創出されるリスクがある。法律施行の少なくとも3ヶ月前までに中央省庁が技術基準を公布することが提案された。
国会常務委員会は、本法案を簡易手続きにて審議・可決することに同意した。政府は指導政令の策定段階において、地方の実行能力に応じたリソース配分を行い、国際条約との整合性を確保しながら投資環境の改善を目指す方針である。
※ベトコムバンク2026年7月28日の公表レート「1 JPY = 166.01 VND」に基づいて換算
