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2026.6.27

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ベトナムの人口動態と経済成長:低出生率化の進行と生産性向上モデルへの転換

世界的な少子高齢化の波の中で、ベトナムもまた過去最低の合計特殊出生率(TFR)を記録するなど、人口ボーナスの終焉と人口減少社会への移行という構造的課題に直面している。労働投入量に依存した従来の成長モデルが限界を迎える中、ベトナムは生産性の向上、自動化の推進、そして「人口と開発」を統合した新たな制度改革へのシフトを急いでいる。


1. ベトナムにおける出生率低下の現状と地域的格差
ベトナムの人口ピラミッドは従来の構造から急速に変容しており、国内での少子化の進行には深刻な地域偏在が見られる。
過去最低水準の出生率: ベトナムのTFRは2024年に過去最低の1.91を記録し、2025年には1.93と微増したものの、人口置換水準である2.1を継続して下回っている。
南部地域での深刻化: 国内の11の省・市においてTFRが2.0未満に落ち込んでおり、特に経済の中心地であるホーチミン市では1.51と極めて低い水準にある。また、歴史的に出生率が高かったフエ市でも、2005年の2.98から2025年には2.06へと急減し、置換水準割れのグループに正式に加わった。
背景にある婚姻・交際の減少: スマートフォンの普及に伴うデジタル空間への依存などにより、若年層の対面でのコミュニケーションやリアルな社会関係が縮小しており、これがカップル形成の停滞を招く構造的要因として指摘されている。

2. 労働力不足がもたらす財政・経済への下押し圧力
若年労働力の縮小は、ベトナムの将来的な経済成長率およびマクロ経済の安定性に直接的な影響を及ぼす。
・扶養比率の悪化: 現役世代に対する高齢者の比率が上昇することで、社会保障費や医療インフラへの財政負担が増大する。
成長のブレーキ: 労働力不足を放置した場合、1人当たり国内総生産成長率を毎年押し下げる構造的な要因(財政赤字の拡大や経済活力の低下)となることが懸念されている。


3. ベトナム政府の戦略転換:「人口法」の可決と生産性向上への注力
従来の「人口抑制(産児制限)」から、人口減少に対応するための「包括的な開発」へと国家戦略を抜本的に転換している。
・2025年人口法: ベトナム政府は2025年に同法を可決し、人口動態と経済開発を統合した戦略へ移行した。具体的には、女性労働者が第2子を出産した際の産休期間を7カ月に延長する制度などを盛り込んでいる。
・低出生率地域への直接的財政支援: 保健省は、低出生率地域において35歳までに第2子を出産した女性に対し、年間総額1兆8,000億ドン(約107.8億億円)規模の直接的な財政支援・補助金を支給する施策を提案している。
・労働生産性主導型モデルへの移行: 労働力の「量」の確保だけでは限界があるため、人工知能の導入や自動化、デジタル・トランスフォーメーションを通じて定型業務を代替し、労働生産性を引き上げることで経済成長を維持する方針を強めている。

※2026年6月29日時点のベトナムコンバンクの公示為替レートに基づき計算。
1 JPY = 166.94 VND