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2026.6.21

経済

金融

ベトナム銀行部門の期間ミスマッチ:短期資金による長期融資の限界と課題

ベトナムの銀行業界では、短期預金を中長期ローンの原資とする「期間ミスマッチ」が限界に達しつつある。流動性リスクと金利高止まりの温床となっており、専門家は銀行への過度な依存から脱却し、インフラ債等の資本市場を通じた直接金融へのシフトが急務だと指摘する。


1. 拡大する資産・負債の乖離
貸出の長期化と預金の短期化という逆行現象が顕著になっている。
貸出の長期化: 中長期融資の比率が約47.4%に上昇(2026年第1四半期)。特に5年超の長期貸出は2019年の194万兆ドン(約11.6兆円)から2025年には459万兆ドン(約27.4兆円)へと約2.36倍に急増した。
預金の短期化: 資金調達の約40〜50%を6ヶ月未満の短期預金に依存。一方、5年超の長期預金は2021年の約323兆ドン(約1.93兆円)から激減し、現在はほぼゼロ(数百億ドン規模)となっている。
システムへの影響: 銀行は常に短期の債務履行義務に追われている。流動性確保のための預金獲得競争が常態化し、政策金利が安定しても調達コスト(COF)が下がりにくい構造を生んでいる。

2. 企業のリファイナンス(借り換え)リスク
インフラやエネルギー分野(回収期間15〜20年)の長期資金需要に対し、企業は市場から直接調達できず短期借入(比率約50%)で凌いでいる状況である。市場変動時に銀行が融資を引き締めれば、企業は借り換えができず債務再編に追い込まれるリスクが高い。


3. 構造的解決策としてのインフラ債市場
銀行のミスマッチ負担を軽減するため、国家証券委員会(SSC)は官民連携(PPP)プロジェクト向けの公募債発行に関する政令案の整備を進めている。
期待される効果:
①企業の調達チャネル多様化とコスト最適化、②銀行のディレバレッジ(信用リスク集中の緩和)、③生命保険や社会保険基金など長期運用ニーズを持つ機関投資家とのマッチング。
今後の課題:
市場を機能させるには、発行手続きの迅速化や、高格付けインフラ債に対するリスクウェイトの優遇措置など、包括的な規制緩和と法整備が不可欠である。

【注記】 2026年6月22日時点のベトナムコンバンクの公示為替レートに基づき計算。
1 USD = 26,442.00 VND
1 JPY = 167.25 VND
(算出レート:1 USD = 158.10 JPY)