ベトナム共産党政治局は、外資系経済部門の発展に関する新決議「第10-NQ/TW号」を公布した。これは、従来の「資本誘致の効率化」に主眼を置いた旧決議(2019年の第50-NQ/TW号)から脱却し、外資を国家の総合的な発展戦略に組み込む「戦略的転換」を明確にしたものである。新決議は、民間経済および国営経済と並び、外資を国家経済の重要な構成要素と位置づけ、科学技術、デジタル化、グリーン・トランスフォーメーション、戦略的自立能力の強化を軸とした国家成長モデルの刷新と構造改革を目指す。
【外資誘致における4つのマインドセット転換】
新決議により、ベトナムの投資誘致アプローチは以下の通り全面的にシフトする。
■「資金確保」から「戦略的投資基盤の構築」へ: 単なる外貨獲得手段ではなく、国家の戦略的産業基盤を強靭化するための投資を優先する。
■「行政区域」から「産業クラスター・エコシステム」へ: 各地方自治体による個別の誘致から、サプライチェーン、バリューチェーン、およびイノベーション・エコシステム単位での広域誘致へ移行する。
■「投入量」から「成果・付加価値」へ: 技術移転、国内サプライチェーンへの参入度、付加価値の高さなどを主要な評価基準とする。
■「一律の税制優遇」から「コミットメント達成度に応じたインセンティブ」へ: 従来のインプット(投資規模等)に対する優遇から、成果に応じた直接的支援(投資支援基金の活用等)へ移行する。
【2030年までの具体的な数値目標と優先分野】
ベトナム政府は、既存のサムスンやインテル、フォックスコンなどの製造拠点としての地位をさらに引き上げ、経済を高度化するための野心的な目標を設定した。
■ 主要な数値目標:
・投資規模: 年間の登録資本金400億〜500億米ドル、実行資本金300億〜400億米ドルを目指す。
・投資元の質: 外資の75%を、先進的な技術・資本・管理能力を有する先進国から誘致する。
・グローバル連携: 『Fortune 500』企業のベトナム投資数を30%増加させ、国内主要産業の現地調達率を45〜50%に引き上げる。また、国内企業1万社を多国籍企業のバリューチェーンに参入させる。
・R&D拠点: 世界大手のテック企業を最低3社誘致し、本社、オフィス、または研究開発センターをベトナム国内に設置させる。
■ 優先誘致分野: 半導体チップ・電子部品・デジタル機器、人工知能・ビッグデータ・クラウドコンピューティング・ブロックチェーン、先端バイオテクノロジー・医療、クリーンエネルギー・新素材、高度ロジスティクス・サプライチェーンサービス、国際金融。
【実行に向けた主要施策】
目標達成に向け、以下ののタスク・解決策が提示された。
■法制度の透明化と予測可能性の向上: 法体系を安定的かつ予測可能なものへと整備する。
■特例措置と特別手続きの導入: 大規模で広域に影響を与え、グローバルサプライチェーンを牽引する可能性のある「戦略的技術プロジェクト」に対し、迅速な投資手続きを適用する。
■先駆的モデルの試験導入: 国際金融センターや自由貿易地域などの特定エリアにおいて、既存の枠組みを超えた超越的な制度モデルを実施する。
