国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)は2026年6月16日に発表した最新報告書において、東南アジア諸国連合地域でエネルギー安全保障が最優先課題になっていると指摘した。同地域は石油や天然ガスの輸入依存度が高く、供給網の多くをホルムズ海峡に依存している。IEAは、抜本的な政策転換がない限り、地域のエネルギー輸入コストが2024年の約800億米ドル(約12.5兆円)から、2035年には2,450億米ドル(約38.4兆円)へ約3倍急増すると警告した。
【現在の動向と脱化石燃料への兆候】
短期的には国内需要を満たすため従来の化石燃料を維持せざるを得ないものの、地域内では輸入依存を減らすポジティブな変化も見られる。
・フィリピンにおける太陽光発電の急増: エネルギー緊急事態が宣言されたフィリピンでは、電気代削減のため屋根置き型太陽光発電の需要が爆発的に増加している。同国は2026年第1四半期において、中国にとって世界第2位の太陽光発電設備輸出市場となった。
・EV(電気自動車)の普及加速: 東南アジアにおける2025年のEV販売台数は前年比2倍以上の約50万台に達した。現在、地域内で販売される車両の5台に1台がEVとなっている。
・ラオスにおける輸入規制の導入: ラオス政府は、石油の輸入需要を抑制するため、2026年の残り期間における化石燃料車の輸入を全面停止する決定を下した。また、その他の国々でも化石燃料依存を脱却すべく、原子力発電計画の再開に踏み切る動きが出ている。
【エネルギー安全保障強化への提言】
IEAのファティ・ビロル事務局長は、市場の変動に対する耐性を高め、長期的な持続可能開発を達成するための具体的な解決策として、以下の施策を推奨している。
■ 需要の抑制と再エネ投資: 省エネを通じて輸入化石燃料への需要そのものを抑制する。同時に、太陽光、風力、水力、地熱といった再生可能エネルギー分野への投資を拡大する。
■ 地域間連携: 地域内のエネルギー協力イニシアチブ、特にASEANパワーグリッド構想を加速させ、加盟国間での電力融通と接続性を強化することが不可欠である。
※2026年6月17日時点のベトナムコンバンクの公示為替レートに基づき計算。
1 USD = 26,433.00 VND
1 JPY = 168.42 VND
(算出レート:1 USD = 156.95 JPY)
