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2026.6.10

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ベトナムのAIブーム:技術熱狂の裏に潜む課題と真の価値

ベトナムでは今、人工知能(AI)ブームが巻き起こっている。2026年中頃の世界AI指数(WIN)によると、ベトナムはAIへの信頼度や受容度で世界トップクラスに位置し、リーダー層の約90%が「AIは競争力維持に不可欠」だと信じている。しかし、この熱狂の裏には、取り残される恐怖(FOMO)からくる表面的な利用や、人間の思考力の低下という深刻な課題が隠されている。

【数字が示す現状と「フォモデウス」の台頭】
2026年初頭のデータによると、ベトナムのネットユーザーの78%、特に大学生においては92%がすでにAIを利用している。ベトナム企業のAI導入への準備率は61%に達し、世界平均の49%を大きく上回る。

しかし、この急速な普及は、テクノロジーへの強迫観念に駆られた新しいユーザー層「フォモデウス」を生み出した。彼らはAIの本質を理解し活用するのではなく、単にトレンドに遅れることを恐れ、SNSでの「いいね」を求めて表面的な利用を繰り返している。その結果、消費されるAI生成物は深く欠け、一過性の流行で終わりがちである。                               ※フォモデウス(Fomodeus):FOMO(置いていかれる恐怖)とホモ・デウス(技術を習得しなければならないという執着)の組み合わせ

【ユーザーの能力を映す鏡と「二重基準」】
AIのアウトプットは、皮肉にも利用者の実力をそのまま映し出す鏡となる。AIの回答に簡単に満足してしまうのは、本人の知識が「平均的」である証拠かもしれない。逆に、物足りなさを感じて修正を重ねる人は、AIの平均値を超える高い思考水準を持っていると言える。

さらに、若年層のAI依存は「脳の怠惰」を招き、批判的思考力や文章力を奪うリスクがある。ここで面白い矛盾が生じている。学生が論文にAIを使えば「不正」とされるが、管理職が報告書にAIを使えば「DX推進」と称賛されるのである。

また、AIが基礎的な定型業務を奪うことで、若手が下積み時代に実務を学ぶ機会が失われ、将来的に複雑な課題に対応できない世代が生まれる懸念もある。

【AIという斧をどう研ぐか】
2026年現在、ベトナムは重要な岐路に立っている。AIを盲信したり排除したりするのではなく、人間が主導権を握り、AIを「アドバイザー」として使いこなす共生の姿勢が必要である。

教育現場では、AIを思考の補助ツールとして正しく教える戦略が求められる。アブラハム・リンカーンは「木を倒すのに6時間あるなら、私は最初の4時間を斧を研ぐことに使う」と言った。AIという鋭い斧を前に、私たち自身が「自分を磨くこと」を怠らなければ、技術に支配されることなく、真の価値を生み出すことができるはずである。