ベトナム財務省は、「民間経済を国民経済の最も重要な原動力とする」主旨の中央執行委員会決議第68号の施行1年目における実績報告書をまとめた。本決議の導入以降、市場への新規参入・営業再開企業数の大幅な増加、証券市場の活況、輸出入の過去最高更新など、民間経済部門がマクロ経済指標の改善と国家予算収入の拡大に大きく寄与していることが明らかとなった。
【市場参入企業の急増と民間資本の拡大】
2025年5月の決議採択以降、ビジネスへの信頼感が回復し、民間部門の参入が加速している。2026年5月18日時点で、ベトナム国内の総稼働企業数は106万2,000社を超えた。
■ 2025年の実績: 新規設立および営業を再開した企業数は前年比27.4%増の約29万7,500社に達した。民間部門から経済に投入された追加登録資本金は、77.8%増の約6,400兆ドンと推計される。
■ 2026年1〜4月期の動向:新規設立企業数は前年同期比50.7%増の7万7,817社(登録資本金:約730兆ドン)を記録。営業再開企業(4万1,000社超)を合わせた総市場参入・再入企業数は約12万社(32.8%増)となり、回復基調を維持している。
【証券市場の活況と時価総額の過去最高更新】
経済の回復に加え、フロンティア市場から新興市場への格上げに向けたロードマップの進展を背景に、証券市場への資金流入が加速している。
■ 株価指数と売買代金: ベトナム株価指数(VN-Index)は上昇を続け、2026年5月15日には1,925ポイント付近に達した。2026年初頭からの1営業日あたり平均売買代金は約32.7兆ドンと、前年平均比で12.1%増加した。 ■ 時価総額と口座数: 2026年4月末時点の株式市場全体の時価総額は約10,500兆ドンに達し、過去最高を更新した。これは2025年のベトナムGDPの約82%(5,240億ドル換算)に相当する。また、投資家口座数は2024年末比で29%以上増加し、約1,300万口座に迫っている。
【輸出入総額が過去最高を記録:Top 15の貿易強国へ】
2025年の輸出入総額は9,300億ドル(2024年は7,863億ドル)に達し、過去最高を更新。ベトナムは世界の貿易強国トップ15入りを果たした。
■ 貿易収支: 輸出額は前年比17%増の4,750億ドルを記録し、10年連続の貿易黒字(200億ドル以上の出超)を達成した。これにより外貨準備高の積み増しと為替・マクロ経済指数の安定化がもたらされた。
■ 2026年1〜5月期の動向: 輸出入総額は前年同期比で約25%増の3,450億ドル超と推計され、大口の関税対象輸出額も24.3%増(610億ドル)と堅調である。これに伴い、税関歳入は年間予算枠の47.1%に相当する212.3兆ドン(15.3%増)に達した。
【国家財政への貢献と構造転換】
民間部門(国営以外)の生産・経営活動の活性化は、国家予算収入を直接的に押し上げている。
■ 2025年の歳入実績: 非国営セクターからの国家予算歳入は502.6兆ドンに達し、当初予算対比で135.7%を達成した。なかでも小規模事業者および個人事業主からの歳入は前年比36.3%増となり、2021〜2025年中での最高伸び率を記録した。
■ 2026年1〜5月期の進捗: 同セクターからの歳入は、現時点で年間予算法定枠の67.9%を消化し、前年同期比で43.6%増と大幅なプラス成長を維持している。
■ 長期的効果: 決議第68号の浸透により、短期的・定量的な指標の改善にとどまらず、大手民間グループによる国家戦略インフラプロジェクトへの投資参画が促されるなど、民間経済の質的構造転換が進んでいる。
