ロイター通信によると、韓国のIT大手サムスン電子は、約39兆ドン(約2,340億円)を投じ、ベトナム北部のタイグエン省に同社初となる半導体テスト工場の建設を計画している。本戦略プロジェクトは2026年3月に当局の承認を得ており、ハノイの北約60キロメートルに位置する工業団地で既に実際に建設が開始されている。
【プロジェクトの概要】
新工場は2027年11月の正式稼働を予定しており、人工知能(AI)インフラの急拡大に伴う世界的なメモリ半導体の供給不足に対応する役割を担う。
■ 主要生産品目と設計能力: 環境ライセンス申請書類によると、本拠点は「レガシーチップ(成熟世代の半導体)」と呼ばれる従来型のメモリ半導体に特化する。年間の設計生産能力は、DRAMが1,533億ギガビット(Gb)、NANDフラッシュメモリが2,556億Gbに達する見込みである。
※ DRAM / NAND: いずれもメモリ半導体の主要種類。DRAMはデータを一時的に記憶する高速メモリ、NANDは電源を切ってもデータが消えない大容量ストレージ向けメモリ。
■ レガシーチップ需要の背景: ハイエンドのAI向けサプライチェーンの核心部ではないものの、世界の大手半導体メーカーがデータセンター向けの次世代AIチップに生産能力を集中させているため、これら従来型メモリは世界的に深刻な供給不足に陥っている。
■ 長期的な展望: サムスンは本プロジェクトで得られた利益から、将来的に25億ドル規模の第2工場へ再投資する長期計画も有している。
【ベトナムの半導体後工程における位置づけ】
タイグエン省にある既存のスマートフォン・タブレット製造複合体(コンプレックス)の隣接地では、2026年4月からすでに重機や数百人規模のエンジニア・作業員による本格的な建設工事が進められている。
■ 後工程のエコシステム構築: 半導体産業は、回路を形成する「前工程」と、組み立て・パッケージング・検査(テスト)を行う「後工程」に分かれる。今回の投資拡大により、労働集約型かつ高度な技術を要する後工程分野におけるベトナムの重要性がさらに高まる。
■ 最大の外資企業としての地位: ベトナムへの累計投資額が230億ドルを超えるサムスンは、同国最大の外資系投資企業としての地位を堅持している。新工場の設立は、インテル、アムコア・テクノロジー、ハナ・マイクロンなどの多国籍大手がすでに拠点を構えるベトナムの「半導体後工程エコシステム」をさらに補完・強化するものと期待されている。
