新韓銀行ベトナムで外国為替およびデリバティブ取引を担当するチョン・ヒョチャン(Jung Hyo Chang)氏によると、米連邦準備制度理事会(FRB: Federal Reserve Board)が金融緩和サイクルを継続すれば、ベトナム国内の米ドル・ドン相場および金利は安定へ向かう見通しである。ベトナム国家銀行は、経済成長の支援、為替の安定、インフレ抑制、金融システム全体の流動性確保の間でバランスを取る舵取りを続けるとみられる。
【ベトナム経済に影響を与える3つの外部要因】
2026年後半のベトナムの金融政策および経済は、主に以下の3つの外部要因に左右される。
■ 国際金利の動向(特にFRBの政策): 国内の為替レート、資本流出入、金利水準を左右する最も重要な変数である。
■ 地政学的リスク(特の中東地域での紛争): エネルギー価格の乱高下を招き、世界的なインフレ圧力を予測困難にしている。
■ 世界経済の成長および国際貿易の見通し: 国際通貨基金の2026年4月版報告書では、今年の世界経済成長率を3.1%と予測する一方、中東の戦況による商品価格の上昇や世界的な金融引き締めのリスクに警鐘を鳴らしている。
【FRBの政策変更と米ドル指数の動向】
FRBは2026年3月の会合で、政策金利(目標水準)を3.5%〜3.75%に据え置いた。中東情勢によるエネルギー価格やマクロ経済指標を見極める姿勢を示しているが、年後半の利下げシナリオには依然として根拠がある。
■ 米ドル指数の軟化予測: FRBが緩和サイクルに入り、主要国との金利差が縮小すれば、2026年後半に米ドルは緩やかに下落する可能性が高い。
■ 下値の限定性: ただし、米国経済が堅調を維持していることや、地政学的リスクに伴う安全資産としての需要があるため、大幅なドル安には至らない見通しである。
■ ベトナムへの恩恵: 米ドル高圧力が後退すれば、ベトナムにとっては為替防衛の負担が軽減され、国内金利を安定させるための政策余地が生まれるため有利に働く。
【輸出入企業への為替リスク管理の提言】
為替レートの変動タイミングの予測が困難な環境下では、企業は楽観的なシナリオに依存せず、能動的なリスク管理へ転換する必要がある。
■ 決済期ごとの外貨ポジション把握: 年単位ではなく、決済期ごとのネット外貨ポジションを明確に特定する。
■ ヘッジツールの活用: 大口の決済や利益率の低い輸入契約においては、先物契約、スワップ、または部分的な為替レートの固定を活用する。
■ マッチングと契約条件の工夫: 同一通貨による収支バランスを自発的に調整するほか、長期契約においては為替変動幅に応じた免責・修正条項を盛り込む。
