決済プラットフォーム「2C2P by Antom」の委託により、市場調査会社IDCが実施した最新調査報告書によると、東南のアジア電子商取引(EC:E-Commerce)市場は急速な拡大を続けている。2024年から2029年にかけたCAGR(年間平均成長率)は13.2%に達すると予測され、インドに次いで世界で2番目に高い成長市場となる見通しである。2029年の市場規模は2024年比85.4%増の2,898億ドルに達すると試算されている
【決済手法の変化:国内決済とデジタル決済の台頭】
2029年までに、東南アジアのEC決済におけるデジタル決済の割合は97%(2024年は89%)に達する見込みである。特にインドネシア、タイ、ベトナムにおいてデジタルシフトが顕著である。
・ローカル決済(即時決済・ローカル銀行決済): 従来のクレジットカード決済に代わり、デジタル決済部門で最大のシェア(約32%)を占める見通しである。市場規模は2024年の451億ドルから2029年には920億ドル(104%増)へと倍増する。
・電子マネー: 2029年には790億ドル(2024年は382億ドル)に達し、EC市場全体の27%のシェアを占めると予測されている。
・後払いサービス: 2024年の69億ドルから2029年には189億ドル(174%増)へと急成長が見込まれている。
【中小企業の動向とデジタル化の課題】
東南アジア6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の中小企業600社を対象とした調査から、EC市場を支える中小企業の現状と課題が浮き彫りとなった。
・高いオンライン参入率と現金の根強い需要: 対象企業の66%がオンライン販売を導入している。一方で、システム統合の複雑さ、不正利用への懸念、導入コスト、インフラの制約などがボトルネックとなり、全体の3分の1の企業がいまだ日常業務を現金に依存している。
・市場ごとの課題の差異: フィリピンやインドネシアでは「インフラ・接続環境の不足」、シンガポールやベトナムでは「セキュリティとシステム統合への懸念」、マレーシアやタイでは「コストと規制の圧力」が主な課題となっている。
・決済システムの刷新ニーズ: 調査対象の63%が、新しい決済トレンドに対応するために現行システムのアップグレードまたは全面刷新が必要であると回答している。
【今後の展望:クロスボーダーECの可能性】
現在、国境を越えた取引を行っている中小企業は49%に留まるが、全体の4分の3が今後2年以内の海外展開を計画している。特にインドネシアとタイの企業で新規顧客層の開拓意欲が強い。
IDCの試算によると、中小企業の国境ECへの参入を促進することで、2029年までに域内でさらに208億ドルの売上が創出され、地域全体のEC価値を7.1%押し上げる効果があるとされている。
