ベトナム小売最大手の一角であるマサン・グループ(Masan Group)傘下のウィンコマース(WinCommerce)は、2026年度株主総会において、同年末までにコンビニエンスストア(CVS)事業へ参入することを明らかにした。サークルKやファミリーマートといった外資大手が赤字を計上する中での参入表明は、市場の注目を集めている。
【参入の背景と戦略的意図】
・小売エコシステムの完結: 現在、ウィンコマースはミニスーパー(WinMart+/WiNLife)とスーパーマーケット(WinMart)を展開しているが、深夜から早朝にかけての需要を取り込めていない。CVS参入により、24時間体制の顧客接点を確保し、消費者のライフサイクル全域をカバーする狙いがある。
・ドミナント戦略: 同社は2026年第1四半期時点で全国に4,817店舗を展開しており、小売チェーン運営の豊富なノウハウを持つ。かつての巨額赤字から黒字化を達成した実績を背景に、CVS事業も早期の収益化を目指す。
【ベトナムCVS市場の現状と課題】
・激しい競争と赤字: サークルK(520店超)、GS25(400店超)、ファミリーマート(約180店)、ミニストップ(約180店)などが競合している。税務当局の報告によれば、これらの大手チェーンの多くが2年連続で赤字を計上している。
・市場の断片化: タイやフィリピンではセブン-イレブンが圧倒的なシェアを誇るが、ベトナムでは規模別で5位に留まるなど、「市場の覇者」が不在の状態である。
・新たな脅威: 中国最大手の美宜佳(Meiyijia)が「Ohmee」ブランドでハノイに出店を開始するなど、新規参入も相次いでいる。
【今後の見通し】
ウィンコマースは2026年末に最初の試験店舗を開設し、その成果を2027年の株主総会で報告する予定である。また、苦戦していたカフェチェーン「フク・ロン(Phuc Long)」との統合についても、CVS併設型モデルとしての再挑戦が示唆されている。タイのセブン-イレブンのように「CVS+コーヒー」の形態でシェア拡大を図る可能性が高い。
