2026年序盤のベトナム二輪車市場において、シェア8割以上を誇る圧倒的な王者、ホンダ・ベトナム(HVN)の販売台数が急減するという異例の事態が起きている。テト(旧正月)明けの季節的要因に加え、急速に普及する電動二輪車(EVバイク)との競争激化が背景にある。
【ホンダの販売台数が急落】
ホンダ・ベトナムが発表した2026年2月の販売報告によると、同月の二輪車販売台数は156,779台であった。これは、前月の214,892台から約6万台の減少となる。
さらに、購買意欲が最高潮に達するテト前の2025年12月(約28万台)と比較すると、40%以上(12万台超)の大幅な落ち込みを見せている。前年同月(2025年2月)比でも約20%減となっており、ホンダの勢いに陰りが見え始めている。
【販売減少の背景】
販売減の主要因として、まずはベトナム特有の「テト(旧正月)サイクル」が挙げられる。ベトナムでは新年に向けて新車を購入する文化が根強く、連休明けの2月は例年、市場が冷え込む時期である。
しかし、長期的視点で見ると、ホンダの年初2ヶ月間の販売台数は、2024年の42.2万台から、2025年は39.4万台、2026年には37.2万台へと年々縮小傾向にある。これは単なる季節要因だけでなく、ガソリン車市場全体が構造的な停滞期に入っていることを示唆している。
【急成長する電動二輪車(EVバイク)市場】
ガソリン車が苦戦する一方で、EVバイク市場は驚異的な成長を遂げている。特に若年層を中心に、環境性能や維持費の安さを重視する層が急増している。
・市場シェアの推移: 2024年にわずか2.6%だったEVバイクの比率は、2025年には市場全体の13~14%にまで跳ね上がった。
・メーカー別の動向: ベトナム最大手ビンファスト(VinFast)の2025年販売台数は約40.6万台に達し、前年比で473%という驚異的な成長を記録した。
現在、EVバイクのショールームはテト明けの閑散期でも活気に溢れている。人気モデル(FelizやNeoなど)は在庫切れが相次ぎ、予約から納車まで10日近く待つ状態となっている。また、Yadea(中国)やDat Bike(ベトナム)などの各販売店においても、来店客数が急増していることが記録されている。
専門家は、ホンダの短期的不振は依然として季節要因が大きいと分析しつつも、EVバイクの台頭による「市場の天秤」の移動は無視できない段階に達したと指摘する。ガソリン車メーカーにとって、電動化への適応と戦略の再構築が急務となっている。
