ベトナム政府は、「2045年までの金融市場全般改革案」を発表した。本案は、2045年までにベトナムの金融市場を国際基準に適合させ、長期的な経済成長の牽引役とする包括的なマスタープランである。資本市場、銀行、保険の統合的発展とデジタル化推進により、資金調達の効率化と持続可能な金融エコシステム構築を目指す。
1. 長期目標と定量的指標
資本市場の深層化と機関投資家の育成を通じ、バランスの取れた市場構造への転換を図る。
● 数値目標(2026〜2030年):
・2030年までに、資本・証券市場における外国投資家の保有資産規模をGDP比約15%へ引き上げる。
・証券投資信託の純資産総額をGDP比5%に達せしめる。
・年金基金の総資産規模を2026〜2030年の期間中、年平均11.5%成長させる。
● 市場構造の改革: 証券市場を中心的役割と位置付け、個人投資家依存から機関投資家(投資信託、年金、保険等)主体へのシフトを推進する。
2. インフラの現代化とロードマップ
市場の流動性および安全性を高めるため、決済・ITインフラの整備を段階的に進める。
● 決済・取引インフラ: 最遅で2028年までに二国間・多国間接続が可能な決済インフラを確立する。現物証券市場への中央清算機関制度導入は2027年中に実施予定である。
● データ統合: 2030〜2035年にかけて、金融市場の管理・監察用共有データベースを構築・稼働させる。
3. 8つの重点施策グループ
目標達成に向けて以下の柱を掲げる。
● 制度・政策: 「金融市場・金融サービス監察法」の制定検討および規制枠組みの再編。
● 多様な金融商品: 暗号資産市場の法制化、ESG投資ファンドやグリーンボンド(緑色債券)、インフレ連動国債等の導入。
● 投資家層の拡充: インフラ・不動産・スタートアップ向け長期ファンドの育成と非居住者の口座開設・送金手続きの簡素化。
● 中間金融機関の強化: 大型商業銀行の育成、2026年以降の早期バーゼルIII適用推奨、不良債権処理およびクロスオーナーシップの抑止。
● ITインフラ: 国家銀行間電子決済システムおよびデジタル取引基盤の刷新。
● 市場監視・統制: コンプライアンス監視から「リスクベース監視」への転換と金市場の適正管理。
● 国際統合・格上げ: 証券市場の市場格上げおよび国際金融センターの段階的導入。
● 高度人材の育成: 主要大学におけるAI金融、サイバーセキュリティ、計量リスク管理専門家などの人材育成。
