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Vol.23 | 2026.5.26 |
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| ベトナムで中小銀行の不良債権急増、資産健全性に警戒感 |
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投資拡大で高層住宅開発が続くホーチミン市中心部 |
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| 中小銀行で進む不良債権比率の悪化 |
| 2026年第1四半期末時点において、ベトナムの銀行業界では中小規模の銀行を中心に不良債権比率(NPL: Non-Performing Loan)が再び急上昇している。上場27行の平均NPLは2.58%(2025年第4四半期は2.42%)まで悪化した。国営大手および大規模民間銀行の資産品質が安定している一方で、中小銀行グループの平均NPLは3.02%に達し、前期比で0.22ポイントの上昇を記録した。 中小銀行グループの中でも、特に以下の銀行でNPLの悪化が顕著である。 ・PGBank 不良債権が急増し、NPL比率は4%を超えた。短期的な利益を確保するために貸倒引当金を削減した結果、損失カバー率(貸倒引当金カバー率)がシステム全体で最低水準の31%まで低下。 ・Saigonbank、Bac A Bank、Vietbank、Eximbank これらの銀行でもNPLが3%前後またはそれ以上に上昇。利益維持を優先し、引当金の積み増しを抑制したことで、潜在的な損失に対する耐性が低下している。 一方で、以下のケースも見られる。 ・NCB 融資残高の急拡大により見かけ上のNPL比率が低下。 ・ABBank、VietABank NPL比率が低い水準で安定。 市場調査および格付け機関の予測では、銀行業界の資産品質における二極化は今後も続くと見られている。特に中小銀行においては、高金利環境や個人債務の拡大、および不動産市況の低迷が重石となっている。投機的な住宅ローンへの融資比率が高い銀行については、顧客の債務返済能力の低下が直接的な収益リスクとして作用する懸念が高まっている。 |
| 投資主導型経済と住宅バブルの構造 |
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これら「ビジネスマン・ベトナム電子雑誌」の記事から示したことは、ベトナム経済の現状を考える上で重要な情報を提供している。ベトナム経済は投資主導型である。米中貿易摩擦を反映して中国から移転してくる工場の建設、またベトナム政府が、高齢化が顕在化する2036年までに地下鉄や道路などのインフラを整備しようと各種の事業を行っていることが景気を先導している。その一方で、日本人の目にも入ることだが、ハノイやホーチミン市の郊外では民間会社による大規模な住宅団地の建設が行われている。 投資主導型の経済開発はどうしてもバブルを生みやすい。消費主導型経済なら投資は消費の伸びを見て行われるが、インフラや住宅への投資ではどうしても将来の需要を過大に見積もりがちだ。それがバブルを生む。 ベトナムの住宅価格はハノイやホーチミン市では平均的な労働者の年収の25倍から30倍以上に達している。そのために新たに住宅を建設しても、それを市民が購入することは困難になっている。このようなバブルはいずれ崩壊する。 |
| 住宅バブルと中小銀行リスクへの警鐘 |
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ただこの2年ほどはインフラの整備に加えて、中国からの多くの工場が移ってきたこともあり、建設業界は好調であった。またトランプ関税の影響を受けながらも輸出も好調であった。これらのことが将来に対する楽観的な見通しを支えることになり、住宅の価格が一般市民が購入できないほどの高値になっているにもかかわらずバブルは崩壊していない。 住宅バブルが崩壊しない理由は富裕層が将来の値上がりを見込んで購入したり、転売業者が購入したりすることによって資金が循環しているためと考えられる。このような状況下で中小銀行の不良債権比率が上昇し始めたことは、投資主導型経済に対する警鐘と言えよう。現段階では大手銀行の不良債権比率は高まっていないので、バブル崩壊が始まったと考えることはできない。しかし過去に起こったバブル崩壊は中小の銀行の経営危機から始まった。中小銀行の不良債権比率が急上昇したことを軽く見るべきではない。 |
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川島 博之 ベトナムVINグループ主席経済顧問 Jパートナーズ顧問 農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授などを経て、現職。 主な著書に『農民国家・中国の限界』『「食糧危機」をあおってはいけない』『「食糧自給率」の罠』『極東アジアの地政学』。 |
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